嘘つきアーニャの真っ赤な真実

米原万里著 角川書店 \1400 ISBN:4048836811
文章がうまいとは思わなかった。表現力があるとも思わなかった。でも読み応えがあったのだ。この本に書かれた著者の経験は、フツーに日本で暮らしている者では想像することすらないし想像しようと思っても不可能なものだ。プラハソビエト学校だなんて、ソビエト学校などというものが存在する事だって初めて知ったのに。技巧的なもの以前に著者が伝えようとしているもの自体のエネルギー、著者の気持ちの強さがこの本を読み甲斐のあるものにしているのだろう。
私が目指すものは日常に起こりがちなことを私の目を介することで面白いものに変えることなので、彼女の作品は全然真逆のセンスである。それにこういうものは私のように諸々の経験の浅いものには叶わぬのだ。いいよなぁ、私ももっと沢山面白い経験してたらもっといろいろ書けるのに。