Gブリ

なんということはない、ゴキブリの話である(見出しなのでイニシャルのみアルファベットにしてみました)。私がかつて通っていた大学はゴキブリ天国であった。フツーにゆうゆうと道を疾走するゴキブリを見たことがあるか?私はある。日も暮れた頃に構内を歩くと野良ゴキブリに目前を横切られるなどということは日常茶飯事であった。私は勝手に、調理実習をするような学科があるせいで学内が汚いのであると思い込んでいたが、院生になってからその考えを改めざるを得なくなった。長時間研究室に滞在するということは、居心地を良くする為にお茶およびお茶菓子を持ち込むということである。それから当然昼食、夕食などもとる。極端な例だと大学に住んじゃってるような人も何人かいたのである。生ごみも毎日相当量生産されていたであろう。ちなみに女子大だから積極的に連中を殲滅せんとする学生は、私の知っている範囲ではいなかった。目撃しても見なかったことにする人間のほうが多かっただろう。そんなある日、友人の研究室で不可解な事件がおきた。冷蔵庫を開けてみたら庫内でゴキブリが絶命していたというのだ。どこに連中のための入り口が用意されていたのだろう、まさにイリュージョン。全く理解できない。人智を超えた能力を持っているのであろうか。大体連中は人間なんかよりもずーっと前、数億年前には現在と変わらぬ姿まで進化し終わっていたのだ。つまり今の姿は完全形なのだ。これ以上変化する必要がないのだ。それはある意味素晴らしいことではなかろうか。完全なる物に憧れるのであれば来世はゴキブリに生まれればよいのである。さすれば連中に対して脅威を感じることもない。なぜなら自分自身が脅威そのものだからである。とはいってもゴキブリにはなりたくないけどね。