旅の理不尽

宮田珠己著 \500 小学館文庫  ISBN:4094110410
白水社刊の「晴れた日は巨大仏を見に」という本を立ち読みしてからずっと気になっていたのがこの人。実際のところどの程度のものを書くのか分からないので手始めに文庫で安く様子をみることにしたのだが、結局上記の「巨大仏」も買ってしまったのでその時点で「理不尽」の方は買う意義を失っていたにも拘らずその事実をうっかり見落として購入。ちなみに今日はこれら2点以外にユリウスカエサル ルビコン以後(上)(中)(下)とプラハ歴史散策を購入。本買いすぎ。
さてこの本の中身だが、初めの30頁は全く楽しめなかった。訳の分からない、何の脈絡もない語句が唐突に現れたりして、その程度でこの私から笑いを取ろうとは笑止千万、寧ろ半ば憤りす感じたくらいだが途中で自分の読み方が間違っていることに気がついたのだ。この人、全然笑いねらってないのである。いや、若干「こういうこと書いて受けたらいいな」くらいには思ってるかもしれないが、恐らく第一には自分自身が楽しんでいるのである。自分が楽しいから書いているだけに過ぎないのだ。読み終わって解説を読むと、そもそもこの本は自費出版したものであったにも関わらず小学館の目に留まったために文庫化まで果たしたのだそうだ。自費出版か…、その語に含まれるエネルギーも私が感じたこの本を読むためのルールを裏付けている気がする。彼が楽しんでいる様を楽しむのがそのルールである。いやぁ、それに乗っかったら面白いのなんの。私もこの人みたいに面白いことやって生きてきたいものだ。