ジュンク堂裏手にて苦汁の選択

luce2004-10-05

簡単に言うとどこで昼食をとるか迷ったという話である。通常ならば硯屋でうどんを食する。マスヒロも大絶賛の硯屋である。なぜならまず第一にここは旨い。讃岐うどんが珍しくなくなった、というかうどんといえば讃岐という風潮の昨今だが硯屋は違う。讃岐を標榜してその実単に麺が固いだけのニセ讃岐うどん屋とは全然違うのだ。こう書くとまるで硯屋が本格派讃岐うどんのように思われてしまいそうだが、そうではないのである。讃岐の名を借りて集客しようなどと言う志の低い店ではなく、うどんのコシ以上に粉の風味を大切にした店なのである。何もつけなくても麺そのものが旨い。尚且つ安い。かけうどんなら400円程度である。ここまで条件そろうと食べない方にがあほのような気すらしてくる。かくして毎週のように通うことになるのだ。
しかし私はここに一軒のカフェを見出だした。…入ってみたい。しかしカフェだなんて些か気恥ずかしい。神保町あたりの喫茶店ならば落ち着くのだがカフェは恥ずかしい。しかしたまにはケーキでも食べ、コーヒー飲み乍らミシェル・フーコーを読んでみたい…。私の胃はかけうどんとセットの炊き込みご飯を欲していたにも関わらず、意思の力でそれを捩じ伏せて強引にそのカフェに入店した。
食したケーキは果たして凡庸な味であった。むろんコーヒーとても同様である。しかしマグカップで供した点は評価に値する。しかもこのカップの形状は手に納まりやすく、大きな持ち手は安定感を与え、飲み口もよい。しとどふる雨の午後、私はゆったりとした時を過ごした。
結論から言うと私は選択を誤った。午後の仕事を始めて最初のうちはともかく、後半というか全体の3分の2はずっと空腹感に苛まれた状態で仕事をする羽目になったのである。大体ケーキ一個で私の胃がおさまるわけがないのだ。私の食欲をなめてはいけない。エナジー不足に私の精神は平常心を失い、発言の内容をコントロールすることすら危うくなった。あろうことか受験生に向かい、こんな勉強したくない、面倒臭い、ダイオード大嫌いなどと続けさまに発していたのだ。その時はさしたる発言とも思わなかったが、改めて文章にしてみるとかなり最低である。こんな事で良いのであろうか、いやよくない。来週はちゃんとうどんを食うか、それともカレー屋夢民に行くかだ。