儀式好き

旨かったす。

私の実家は毎年クリスマスは23日と決まっている。世間が24日だと言おうと関係ない。23日と言ったら23日なのである。それから、別にキリスト教徒なわけではない。クリスマスなんぞは単なるホールケーキを食べるための口実でしかない。何かきっかけがないとそうそうホールケーキなんか買わないからさ。
ケーキを食す前に一応イエスに敬意を払うため、心にもないのに「きよしこの夜」を歌うことになっている。これも毎年の恒例行事である。しかし毎年うちの両親は“きよしこのよる”までの歌詞しか分からず、私が早口で次の歌詞を教えることになるのだが。滅多に歌など歌わぬ我らが口をそろえててんでんばらばらに歌う姿はかなり異様で、飼い猫が怯えて悲鳴を上げるほどであった。
歌い終わるとまず父親が率先して「アーメン」と十字を切り、ついで母親が理由も分からず、ただつられて十字を切る。しからば私も合わせておくかと十字を切る。こうしてやっとケーキにありつくことになるのだ。意味わかんないし人によっては何たる不真面目さ、ふざけるのもいい加減にしろと説教されそうだが、やってるこちらはこの「なんでもあり感」が楽しかったりするものである。面白けりゃもうなんでもいいよ。