残酷な女たち

ザッヘル=マゾッホ著 \819 河出文庫 ISBN:430946243X
十代の頃はドナチアン・アルフォンス*1を喜んで読んでいた私であるので、やはり同じ頃にバランスをとるために「毛皮を着たヴィーナス」を読み、その時にどうも合わないものを感じてそのままマゾッホとは疎遠になっていたのだが、久々に読んだ。「毛皮〜」に比べたら読みやすいし、この中に収められた「風紀委員会」などはマゾっぽさが薄いのだが、最後まで読み通すと薄いながらもそこには確実にマゾッホらしさが存在することを確認できた。やっぱマゾはダメでした。なんかヤダ。そのイヤさ加減を事細かに記そうと思えばそれも可能だが、それをしたところで私にとっては喜びがないのでやめる。マゾはイヤです。
これを読んでいたのは渋谷の名曲喫茶ライオン。店に入るまではやっぱり来るべきではなかった*2と思い、店に入ってからはやっぱり来てよかったと思った。もう何十年も前から時が止まってしまったようなこの店の中には、昔の学校などに置かれていたようなガスストーブが置かれ、その上には薬缶まで設置されていた。私が入店して5分も経たないうちに、それまでかけられていた曲が止められて「トラヴィアータ」に変更された時は吃驚した。私が誰だかバレてんのかと思った。自意識過剰だけど。

*1:サドっす。ドナチアン・アルフォンス・フランソワ・ド・サド。

*2:ラブホテル街にあるんです。