スキャーナー

これまでのお話を整理すると、私は3月初めに転職を果たして以来ずっとグアム・サイパンのガイドブックを作り続け現在2冊目が終わりかけているところである。そして次には3冊目のグアム・サイパンが待っており、2冊目と3冊目とでは出版社が異なるので、同じ物件を紹介するにしても同じアングルの写真を使うわけにはいかない。ということで現在写真を鋭意整理中である。
2冊目を作り始めた当初は私よりも1週間早く入社した新卒さんと仕事をしていたのだが、その彼女が先週突如会社を辞めてしまったために彼女の使った写真も手探り状態で整理する次第である。そんな最中、付箋の貼られたポジを発見。おそらく使用したポジであると思われるのだが、付箋に書いてあった言葉といったらこんな風。
スキャーナーしたもの」(下線筆者)
蓋しスキャンしてマックに取り込み済みのポジであると言いたかったのであろう。その昔世の中にコピー機が導入された頃、市場をゼロックスがほぼ独占状態であったためにコピーをとることを「ゼロックスする」と表現することが横行したらしいが、それと同種の悲哀を感じさせるではないか。「スキャナしたもの」でも十分哀しいのだけれど「スキャーナー」だからな。若いのにどうしてこういうことになってしまったのだろう。ポジの入った袋に大々的に「ネガ」と書いていたときも切なくなったが、今回はその比ではない。しかも彼女はもうこの会社にはいないからね。余計寂しいね。からかうことすら叶わないではないか。私が彼女のためにできることは何一つ無いが、密かに幸福を祈るのみである。