すげえイヤミ

サイパンから仕事がらみで電話がかかってきた。最近ではグアム関連の電話の仕事はアルバイトの留学帰りちゃんに頼んでいるのだが、折悪く彼女のいない時間に。最初にその電話に出た人もイギリスに何年か住んでいたとかで英語には不自由しない人である。が、しかし。
「グアムかサイパンかよく分かんないけど、電話です」
何故だ。何故彼ほどの人物がその程度のことを聞き取れぬのだ。訝しく思いながら電話に出たら疑問一気に氷塊。英語以前に何喋ってんのか分かんないんだよ。かろうじてショップの名前が聞き取れたので相手が誰だか分かったが、英語だと思って耳を傾けると日本語を喋っていて、そして気が付くと英語になっていたりする。しかもその言語の変わり目が全然読みとれない。なんとか聞き取れたのは「ファックス送ります」だった。
会話成立してないのでとりあえずプリーズプリーズ言っておいたら送られてきた。ファックスが。だがしかし。今度はファックスの文面が難。何が言いたいのか分からない。かつて私から彼らに電話をかけたときも「おじょうちゃん」と呼ばれたり、「もいっかい言ってゴラン?」とか謎の気安い日本語で話しかけられた上に、最後にはこちらの質問には答えず、ダイジョブ、ダイジョブネ、心配ナイネ、などと言って会話が終わったのであった。…あれをもう一度やらないといけないのか。考えただけでも気が滅入るのだが、これも仕事である。意志を確認せねばならぬ。
今度の相手はまあまあ日本語が通じた。一安心である。だがね。なんかエセ関西弁なんだよ。「オオキニ」とか「アキマヘン」みたいなことを言われてかなり狼狽えた。どこで日本語覚えたんだ?この人。それにしてもここのスタッフは何故揃いも揃って謎の日本語を操るのであろう。とまれ目的を達して一安心である。
油断禁物とはこのことだね。緩みきってたところにグアムから電話がかかってきた。バイトの留学帰りちゃんにかかってきた電話ではあるが、彼女がいない間は私が応ぜねばなるまい。しかし心の準備が…。普段自発的にグアムに電話をするときはだいたいシミュレート済みの会話が繰り返されるだけなので何ら問題ないのだが、不意打ちは困る。アドリブはきかないのだよ、こっちは。ちゃんとリハしてくれなきゃ、などという論理は向こうには通じないのである。しどろもどろの失語症になりながらも何とか応対したよ。todayが思い出せなかったけどね。I see. も出てこなかったけどね。しどろもどろの程度が察せられることでしょうよ。そうしたらなんて言ってきたと思う?
「キミの英語、スゴイネ!」
greatって言われたよ、greatって。すげえイヤミだ。外国人にイヤミ言われたの初めてだ。舌噛んで死んじゃいたい気分だわ。庄司薫。念のため断っておきますが、失語症になっちゃうのは英語よりも先にイタリア語が出て来ちゃうからだよ。そこんとこヨロシク。