30歳にしてグレる

腹具合が悪いせいか虫の居所まで悪く、普段はさほど気にならない父親の吸うタバコの煙のにおいが神経に障り、些細なことに苛立つ自身の心理状態がちょっと面白かったので勢いに乗り、不機嫌ついでに家出などを試みたのがおとついの夜更け。ご安心ください、現在はちゃんと帰宅しておりますので。
私ってばいま家出をしているんだわ!という想いから気分が高揚し、いつになく上機嫌となり、母親が心配してよこしたメールに対しても家出中なのだから返事を返すわけにはいくまいと黙秘。父親の「お父さんが悪かったから帰っておいで」というメールには「癌で死にました」と返事を返した。癌というのは勿論父親の喫煙の習慣に対する当てこすりである。反抗期というものをあまり経験せずに成長してしまったので、この30歳にもなってグレてる感じがあまりにも馬鹿げているし、みっともないので面白かった。
学生時代にいい子ちゃんで育ってきてしまった反動だろうか。決して「いい子」であろうとしたことはなく、ゆえに授業などもサボりまくりだったのだが、私自身の交友関係を母親に問われる前から自己申告していたので、母親も安心していただろうと思われるので「いい子ちゃん」だっただけのことだが、この自己申告というのも母親を安心させるためにしていたわけではなく、頭の中身が漏れていただけというか、一日のスケジュールを確認するために口に出していて、しかしそれじゃあ独りごちてばかりのおかしな人になってしまうので、表面上「会話」という体裁を繕っていたに過ぎない。聞き出そうとされる前に自分から喋っちゃうなんて、なんてバカなんだ!私は!!そんな私が30歳を目前にして反抗期。この年で自分が家出なんかするとは思わなかった。しかし私の友人の中には実家に帰ると北朝鮮になるという人物がいるので、北朝鮮に比べればまだ家出のほうが可愛げがあるのではないか、などとも思う。