ルパンに行けない夢を見た

三十路を記念したいというわけではないが、去年からの懸案事項であるサーティーズの会合の際に、帰りに銀座の「ルパン」で一杯ひっかけようというプランがある。坂口安吾も常連だったというこのバーにかねてから「一人で店に入れるようになりたい」と思っていた私ではあるが、やはり敷居高く実行したことはなかった(真昼間に入り口前をウロウロしたことはある)。ふとしたきっかけでミソジーズ、じゃなかったサーティーズの会の際についでにルパンにも行こうという話が私とちるさんとの間に出て、ちるさんが「店のホームページも見た」というのでこちらも更にやる気がましてきて、昨夜就寝前にルパンのあのトップページのイラストを見てしまったせいか、ルパンに行く夢を見てしまった。
夢の中で私はちるさんと二人で連れ立って、現実の銀座とは似ても似つかぬ、なんか「ニュータウン」という雰囲気の街を銀座のつもりで、ルパン目指して歩いていた。通りがかりに雰囲気としては小川町の方の川村珈琲店によく似たバーに出くわし、ルパン目指していたはずなのになぜかこちらに入店。敷地面積1坪くらいの極小店内には店主と思しきオジサンと、客と思われる男(多分こいつも今年30歳。知らない男だけど三十路倶楽部の会合のつもりで夢を見ていたので30歳に違いない。実際それくらいの風貌であった)が一人いた。窓からの日光がまぶしすぎるその店で適当にカクテルを頼み、なぜか私は「チャージが500円でこれが1000円ちょっとだから大体2000円で収まるだろう」と暗算し始めた。
店の主人が後でこれをお食べ、といって差し出したのが、池袋東武のヨックモックの限定品でイチゴ味のミルクレープだった。私は「お土産なんか持たされたら、到底2000円では収まらないぞ」と心配しはじめ、何故かお会計は私とちるさんとその男の分まで全部一緒であった。私は主人に札入れを差し出し「早くここからお札を出してください」と自分でお金を出すことを拒否。合計金額は5400円で、これもどういう訳か3人で割り勘であったので2000円以内で収まり安堵。
店を出てからその男が持たされたケーキを早速食べようというので、一人一つずつ、個別に包装されたそれを手に持ち、ちるさんとその男はさっさと食べ初めて美味しそうにしているにもかかわらず、私のそれは暗証番号を入れないと開けられないという謎の包装紙(電子的な要素は微塵も感じさせないのに)であり、困惑しつつ手にしたスプーンでその男の分のケーキを勝手に食べたら「スプーンに暗証番号書いてあるじゃん!」と言われたところで目がさめた。