タシケントへ

姉さん、雪です(『ホテル』風に)。朝起きたら雪が降り始めていた。積もるような勢いじゃないけど、電車と飛行機は大丈夫だろうか。昨日ホテルでタクシー予約したのは正解であった。もう本当に真っ暗。街灯という言葉を失いそうなほど暗い。街灯? なにそれ。食べられる? 山のあなたの空遠く、街灯あると人のいう、みたいな。こんな暗がりの中、200〜300円を惜しんでタクシー探すなんてことはできません。雪降ってるし。
無事駅に到着し、車両に乗り込み出発を待っているところ。タシケントでは4時間くらい観光する時間があるのだが、既に気持ちが萎えている。だって、寒いし。荷物重いし。タシケントには日本人捕虜が建てた劇場があるので見に行きたいのだが、雪じゃあねぇ。
以前、平野啓一郎がテレビのことを『テレヴィ』と表記しているのを見かけ、原音に忠実に、とか、大江健三郎もこう表記してる、とかそんな理由でのこの表記だったと記憶している。その時私は「原音に忠実にというならむしろTVと書いた方がよいのでは。テレヴィとか言ってんのは世界で平野啓一郎大江健三郎のみなのでは」と思ったものだが、ここにいた。列車備え付けのディスプレイに『Телеви』って出てたよ。これ、ラテン文字で書くと『Televi』となるのだ。平野さん! お仲間がウズベキスタンにいましたよ! ていうか、ひょっとしてロシア語圏全域でこの表記?
今乗っているシャーク号は新幹線タイプの座席でコンパートメントにはなっていないのだが、サマルカンドからブハラに来たときは座席の向きが進行方向と逆で、これは座席の向きを変えられないがためなので、きっとブハラからタシケントに戻るときは進行方向と同じ向きになるのだろう、と期待してたらやっぱり逆向きだった。なぜ。逆向きがこの国のスタンダードなのだろうか。同じ車両には中国人が大勢おり、ひょっとして同じ東アジア人同士、安心するだろうとの配慮だろうか。ウズベク人はカザフ人の言葉なら半分以上分かるらしく「日本人も中国人や韓国人の言葉ならわかるでしょ?」と言われたこともあるが、分かるわきゃない。いま早速、お茶を注ぎにきた車掌さん*1に「あの中国人たちと喋れば?」みたいなことを言われた。だから分からんのだよ、中国語は。

*1:ふと妄想。車掌さん、銀河鉄道999の人みたいだったら怖いな。