あの人はヅラですか

髪を切った。私としては珍しく主体性をもって、重めのボブ、前下がりにと指定して*1。果たしてその通りの髪型になったのではあるが、仕事に行ったら人々の反応、「クレオパトラみたい…(絶句)」みたいな。クレオパトラみたい、というのは中学生の頃もいわれたことがあり、つまりおかっぱ頭であったのだが、すべては黒々として直毛の私の髪の毛に責任があると思います。いやな言葉よ、クレオパトラみたい、って。全然ありがたくないね、そんな事いわれたって。
そもそもその言葉に美貌を讃えるといったニュアンスは一切含まれない。クレオパトラという語に込められているのは容姿が優れているという要素などではないのだ。『クレオパトラみたい』を的確に翻訳すると『古代エジプト人を想起させる髪型である』という意味だ。そ、そんなこと言われても、だったら私のアイデンティティはどうなっちゃうわけ!? ワタシニホンジンデス! せめて『こけしみたい』と言われたい。
髪型と言えば、職場にひとり、とても私の注意を引く頭部の持ち主がいる。横切られたり近くを通られるとつい頭を見てしまうのだが、どうでもいいことなのでその『気になる感じ』を脳内で具体的に言語化する事はこれまでなかった。しかし今日、ふと仕事中に集中力が切れて目線を遠くにやるとその先にその人がおり、ぼんやりしてたためにうっかり「あの人はヅラですか」と口走りそうになった。コエー。危険発言じゃん。ぼんやりすると脳と口が直結し、頭の中身が垂れ流しになるという傾向があります。
私は本来、他人の外見に頓着しない(自分の外見もか!?)たちなので、ヅラの人がいたとても恐らく滅多に気づく事はないのであるが、その人だけはどうにも目が引きつけられちゃうんだよ。そのあからさまなまでに『乗っかってる感じ』が、ネコにとってのピョコピョコと動く物のように私の注意を引きつけるのだ。
そういや古代エジプトの人々もカツラだったんだよな。ということはなにか? 私も遠回しに『ヅラですか』と聞かれてるってことか? 主体性をもった結果、ヅラ性をも獲得した。やっぱ「適当にやってください」ってたのむ方がいいじゃん。

*1:大抵は「よく分かんないんで、適当にやってください」とたのむ事が多い。