助産院での健診

助産院での初めての健診は、病院とは随分違っていた。病院だと診察時間が圧倒的に短くて5分ちょっとで終わってしまい、先生がエコーで映像を見せながら、
「心臓動いてますね〜」
(どれが心臓!?)
胎盤もできてきてますね〜」
(どこが胎盤!?)
などと、何がなんだかよく分からんうちに終了するのが常であった。助産院では、エコー見てるだけでも10分近かったかなぁ。すごく丁寧に見せてくれて、
「ほら、心臓が4カ所、ちゃんと動いてるのがわかりますよ」
心室、心房が左右共に動いてる!)
「口をぱくぱく動かしてますね〜」
(本当に動かしていた。私に似て食に対する欲求が強い?)
ほかにも頭の大きさを測ってくれたり、いろんな見せ方をしてくれたのだが、最終的には面白いところで映像を止めて、
「ほら、ガイコツっ! ガイコツっ!! あはははは〜」
ここの助産師の先生は面白い人であることが判明した。ほんとにちっちゃいガイコツだったよ。手や指の骨とかも見えたりして。
診察の前にはお茶飲みながら30分以上おしゃべりしたり。昨日は「助産院がどんなところか見たい」という私の母が同行していて、私を出産した時の話を先生にしていたのだけれど、難産で仮死状態で産まれてきて、看護師さんに逆さ吊りにされて背中を叩かれたら産声を上げた、と言ったら、
「逆さ吊りで背中を叩くのは、すごく危険なんですよ」
とのこと。頭に一気に血が上るので脳の血管が破けたりする可能性があって、大変危険なのだという。無事でよかった。
ところで私の出産が難産だった、という話に対して、実は少々懐疑的なのである。なんでかって、小さい頃には兄が難産だったと聞いていて、「あなたはスルッと産まれた」と言われた記憶があるからだ。それが、こう、10代半ばになり反抗期と言うよりは生来の頑固さから親の言うことを全く聞かなくなり、親から見て手がかかるようになったころに、兄と私の話がすり替わった気がするのだ。
たとえば、外出するときは遅くとも9時までに帰らないと家にいれませんよ! と注意されても、そんなん、遊んできたものの勝ちじゃん、入れないって脅したってどうせ実行力ないだろうし、女の子を夜中にほっぽりだすなんてできないだろう、とはなから言うことを聞く気がなかったのだが、そうして帰ると当然叱られ、こちらは「嵐が過ぎ去るのを待つ」という心境でいると、徐々にしんみりしだして「あなたを産んだ時は難産でね…」などと話しだすのだ。絶対話すり替わってるって。初産が軽くて2番目が重いなんて聞いたことないし。
ちなみにこの帰宅時間については「遅くなる時は連絡しなさい。迎えに行くから」と親側が折れる形で決着がついた。思えば昔から好き嫌いがはっきりしていて、誰がなんと言おうと嫌なものは嫌だし、やりたくないしやる必要もないと自分で決めたことは絶対にやらないできた。
具体的には、幼稚園の頃に「運動はできなくてよし」と決めていたため、ずっと体育が苦手だった。さか上がりなんてできたことはないし、授業でいやいや練習させられて、一度だけさか上がりができたのだが、べつに嬉しくとも何ともなかった。
もっと古い話だと、恐らく2〜3歳くらいの頃だが、公園で遊んでいて、なかなか帰ろうとしない私に対し母が「お母さん先に帰っちゃうからね!」と言ったところ、家と真逆の方向に走りだしたから仕方なく追いかけたらしい。ものすごく手がかかる子どもだな。
産まれてくる子どもが私みたいな性格だったら、面倒くさくてやだな。しかしうちのやつに似て妙に冷めていてもやだな。