buon compleanno??

目出度いかどうかはさておき本日は、ジョン・ロック、ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル、モーリス・メーテルリンク。ならびにイングリッド・バーグマン八代亜紀マイケル・ジャクソン。ついでに辛酸なめ子ペ・ヨンジュン、そして私の誕生日である。アングルとバーグマン、辛酸なめ子と同じ日なのは嬉しいけれど、他の人々は全然嬉しくないな。記念すべき28回目の誕生日ということでベトナム屈指のリゾート地、ニャチャンでブルジョワ気分を味わうことにした。勿論滞在ホテルはニャチャン一の超高級リゾート、アナ・マンダラホテルだ。俗っぽいね。たまにはこういう俗っぽさも悪くないかもね。ホーチミンから飛行機に乗り込んだものの、機体の調子が悪いからと一度おろされ、30分後再び先ほどと同じ飛行機に乗せられたときはたまげた。流石に落ちて死ぬんじゃないかと思ったけれどそれもまた一興かな、などと半端に悟りを開いた人のようなふりをしてしまった。
そして到着したホテルは、いや〜すごかった。初体験。ジェノヴァで一泊3000円、風呂なしシャワーボックスのみのホテルに泊まったこの私がこんなホテルに泊まるなんて。チェックインの手続きする前にウェルカムドリンクとか言ってシャンパン飲ませてもらったしさ。しかも全室ヴィラだぜ。勿論プライベートビーチもある。びっくりしたのは一休みした後、泳ごうと思ったときのことである。金持ちって海で泳がないのね!白人どもはビーチで日焼けに徹するばかり、泳ぐのはホテルのプールだけなのだ。お前らバカじゃねぇの、目の前に海あるのにさ!と思ったけれど、きっとこれが本物の金持ちの過ごし方に違いない。きっと海は下々のものによって汚染されてるとでも思ってるのだ。私?勿論泳いだよ、海の中で。最後に海で泳いだのは7年前、ダイアナ妃がなくなった年、やはり誕生日を沖縄で過ごしたときのことだ。超インドア派というよりは寧ろ半ば引きこもりなので滅多に海などには行かないのである。しかしまあ折角だからプールも泳いでおくかと中に入ってみて吃驚。足が下につかないのだ。これ一つとってもこのホテルが白人向けに作られているのがよく分かる。私は日本人としてはごく普通の身長、158cmだ。そしてこの身長は普通のベトナム女性に比べたら相当背が高い。子どもの頃から背の高い女性に憧れ続けていた私であるが、ベトナムでは俄かに大女気分を味わえたくらいだ。下手すると男性よりも私のほうが背が高いくらい。ベトナム人泳げないだろ、このプール。実際泳いでるのもほぼ白人だけであった。面白くないね。
夕食はホテルのレストランで。かつて私は三軒茶屋アオザイを2万円程度でオーダーしたことがあったのだが、当然ながら日本では着用する機会が殆ど無く、今までに2度しか着ていなかったのでこの旅が3度目のチャンスとばかり、日本から持参していたのである。で、それを着用してディナーに。ベトナム料理のディナーだったのだが、白人向けに作られており、パクチーなどが殆ど気にならない。ホーチミンでは街中パクチーの匂いが漂ってるんじゃないかという勢いでいい加減辟易していたにも関わらず、ここでは美味しくいただくことが出来たのであった。失敗したのはワインだなぁ。誕生日だから好きなだけ飲んで良いよと母親にそそのかされ、さして強くも無いのにペース早く飲んでしまったために結構酩酊。モーダメ、部屋カエル、などとしどろもどろになっていたら何故か音楽隊が我々のテーブルに近づいてくるではないか。なんかされてしまうのであろうかとドキドキしたのだが、これは単に酔いで脈が速くなってただけかもしれない。とりあえず様子を見よう、というか見動き取れないからおとなしくしていようとハラを決めると彼ら、何故かハッピーバースデーの歌を歌いだしたのだ!何で知ってんだ!?悪いがうちの母親はそんなものを仕込むほどの心遣いが出来る人ではない。だって朝起きて私が「今日は何の日か承知しているのかね?」と質問すると、全然わからない、とニコニコ笑いながら返答したくらいだからね。兎に角ハッピーバースデーである。呆然としている私の前に今度はま〜るいバースデーケーキ登場。勿論ろうそくも乗っているが本数は28本などと野暮なことはしない。片手で足りる程度の本数しか載せていなかった。それが懸命な処置というものであろう。28歳は微妙な年齢である。しかし申し訳ないのだが、私にはそのケーキを食べ尽くすほどのゆとりはもう残されていなかったのである。酒さえ入っていなければホールケーキの一つや二つ朝飯前なのだが、如何せん酔っ払ってる。酔っ払いの絶頂においてクリームたっぷるのケーキを食べつくせる人間はこの世にどの程度いることであろう。全く手をつけないわけには行かないので小さく一切れだけ頂き、あとは皆さんで召し上がって、などとホテルスタッフに言い放ち、金持ち寛大なブルジョワ娘のまねっこをしてなんとか取り繕った、と思ってるのは私だけかもしれない。本当はきっと見っともないくらいに酔っ払っていてスタッフにも哀れまれていたのかもね。ま、どーでも良いけどさ。