ジュンク堂!

ジュンク堂!最高だ!!今まで足掛け3年ジュンク堂の前を週に一度は通っていたというにも拘らずこの店の魅力に気付こうとしなかったのは何たる損失。愚だ愚だ。大体この本屋は学生時代に先入見から低く評価してしまっていたのだ。ゆっくり座って本を読みながら購入するかどうか決められる、という点が美本に拘る私としてはどうしても許容できなかったのだ。そんなことをおおっぴらに書店が許したら本が破損されるだろう!ただでさえ客というのは自身が買う気の無い本に対しては扱いが悪くなるというのに。ここの本屋に行ったってどうせ汚い本しか手に入らないに違いない、そうでなくとも大型書店とはいえ所詮池袋、ミーハーな品揃えに違いない、その辺の自称読書家と私とでは違うのだ、私なら新刊本は三省堂本店で買うし古本は神保町だ、などと自意識過剰であったために常ならば本屋を見たら揃えをチェックせずにはいられない衝動に駆られる私であるにもかかわらず、ジュンク堂は本屋として認識することすらしていなかったのだ。それが本屋で働くようになってから自然と大型書店がどのように売り上げ伸ばしているのかが気になり、ジュンク堂も覗くようになってきた。使ってみると本は然程汚れないことも分かったし、椅子があるというのは大変によろしいとも思った。しかし私はまだ全くこの書店の魅力に気付いていなかった。そう、今日までは。
てゆーかジュンク堂9階最高。やっぱうちの本屋に無いものがある。人形のコーナーだぜ、だって。ベルメールとか面陳されてんだぜ。ありえねー。ドール・フォーラム・ジャパンなんて雑誌、普通の店じゃまず扱ってないし。あんなマニア雑誌。今日この人形コーナーに暫し佇んで気付いたのだが、私はどうもあの人形の関節が好きらしい。好き、なんて言葉では表現できないかもしらん。なんとも言えず惹きつけられるのだ。目線が意識せずともそちらに行ってしまう。だからベルメールも好きなんだな。人形のコーナーを後にし、私の目指すものがどこか、探しながらフロアをさまよってるとなんとロシアカメラコーナーが。新宿ルミネの青山ブックセンターがつぶれるまえにロシアカメラのパンフは見たことがあったが、ジュンク堂は本物を展示していた。あの1枚の写真で4カット撮れるやつとか、ネコモチーフのものとか。いいねぇ、この遊び心。ほしくなっちゃったよ、この微妙にピンボケするカメラ。と後ろを振り返るとそこはまさしく私の目指していた世界。一番最初に私の目に入ってきたものは、それはチェコ版「悦楽共犯者」のポスターだった。
チェコではこんなイラストのポスターを使っていたなんて全く知らなかったのだ。オテサーネクにしたってイラストだ。私が知っていたのはあの少女が目玉焼きの目玉に自分の舌を突っ込ませようとしている、映画のワンシーンをポスターにしたものだった。そのポスターも十分良かったんだけれど、このイラストのポスターはもっといい。フレーム買ってきて部屋に飾りたいくらいだ。それにしてもこのコーナーにたどりついたときの私の興奮ぶりを正確に想像できる人などきっと早々いないだろう。それを学ぶことに対して俄然やる気をましてきたチェコ語で書かれた、というかチェコで発行されている絵本がそのまま売られていたのだ。出版社名も「アルバトロス」って書いてあるし。情報でしか知らなかった「アルバトロス」が今まさに私の目前にあるー!!目をぎらぎらさせ平台に食い入るような姿勢でいた私はそうとう異様な存在であっただろう。実際、今思い出したけれど完全に周りが見えなくなって若干声を立てて笑っていたりもしたのだ。何で笑ったかって言うとチェコフェアのコーナーだとばかり思っていたのに何故か隅っこに鳥獣戯画歌川国芳のあの、金魚を狙う妖怪めいたネコのクリアファイルが売られていたのだ。あの絵をそういうグッズにするセンスは私は結構好きなのだ。実際国芳といったら他の絵だけどやはりネコが描かれているものがあって、それのマウスパッドを使用したりもしていたのだ。マウスパッドにネコがいるなんて、ちょっといいよな、なんて自己満足しながら。
チェコに話を戻すけどさ、私はどうすればいいの?今の私にはあのジュンク堂9階のチェコポスターフェアは宝の山なんだけど。お金ないし。なんで私が「ほしい」と望んだ途端にそれに関する情報がどんどん集まってくるの?チェコのことをもっともっと知りたくてたまらないと思ってた矢先なんだよ。昨日夜想35「チェコの魔術的芸術」でチェコ絵本のことを読んで、実物見てみたい、チェコに行ったらきっと買って帰ろうと思ったその翌日には実物見てるんだぜ。もう世界はすべて私を中心として回っているかのようだ。世界はsvietだったな、確か。スペル違ったかも。アクセント記号もつけられないし。まいっか。あ〜〜〜、チェコチェコチェコ!!チェコに行きたい!
と興奮冷めやらぬまま3階に下りたら今度は自由価格本のコーナー、大半が教養文庫教養文庫だぜ?今じゃ普通の本屋では買うことの出来ない、あの教養文庫。しかも200円くらいで売ってるし。プレミアつけちゃえば?と提言しようかと思ったが、そうはせず次回ジュンク堂に行ったら購入しようと思う。
それにしてもいいなぁ、ジュンク堂。揃えが、という以前にあんなチェコフェアを組めるような書店であるというところが私に羨ましさを感じさせる根源になってると思う。うちの店じゃまずこんなフェア組まないだろうし、チェコ?アニメ?ナニソレ、という人も多いと思う。ジュンク堂の場合、土地柄からああいったフェアを組んでもお客さんをある程度見込めるのかもしれないが、それにしてもいいよなぁ。趣味全開のところがいいよなぁ。ああいうことしたいよな、私も。私が売りたいものしか置かない店。でもそれじゃ生きていけないだろうけれど。いいなぁ。