ビールと古本のプラハ

千野栄一著 白水Uブックス \945 ISBN:4560073406
チェコにこんなビール文化があるなんて知らなかった。ビール好きなら常識だったのかもしれないが、残念ながら私は生まれてこのかたビールを旨いと思った経験が無いのだから仕方が無い。飲むのは専らワイン。ワインばっかり。別に血管流れてるのは普通の血だけど。しかしこうまでビールビールと書かれると飲まずにはいられない。特に著者がしつこいくらいに繰り返していた「黄金の虎」、一見さんお断りのようなこの店であるがここで飲まなくてはならないのではないかと半ば強迫観念にすらなっている。チェコに行く機会があるならばブドヴァイゼルでも飲んでみよう。間違ってもそれをバドワイザーなどと発音してはいけないのだ。
本自体の評価としてはまあまあ好感が持てる。兎に角著者のチェコプラハに対する愛着、愛情が好ましい。若かりし頃にはきっと充実した留学生活をすごしたのであろうと思われる。そりゃ当然嫌なこともあっただろうけれど、そんなものを打ち消せるほどの充足感を味わったに違いない。だから好ましいのだ。