イタリア展に完敗

伊勢丹新宿店の恒例行事である秋のイタリア展に行ってきた。エレベータで6階まで上がって出ると目前はもう会場である。運がいいのか悪いのか、一番最初に目に入ったのがワイン売り場で、しかも目が合った最初の人が顔見知りのワイン売りのおばさんであった。お祭り騒ぎの今日、私の嗜好を既知のその人はえらい勢いで試飲させてくるのである。もう私はあそこで何種類試したか全く把握できていない。合計すると確実にグラス1杯分以上飲んだと思う。やばいと思ったときには手遅れで既に飲んだくれ、酔っぱらいの形相である。へらへら笑いながら、他も見てから最後にまた戻りますね〜、などとおばさんに言い残し、私の足は別のワイン売りの元に向かっていた。棚にあるワインを見る私に声をかけてきた次の人物は、英語でなにやら言いよるのだがこっちは既に酔っぱらい、英語なんかで話せるわけがない。途方にくれた相手は何を思ったかいきなりイタリア語で話しかけてきた。名札を見ると「マルコ」、完全にイタリア人である。私がイタリア語を解することを如何様に知ったのであろうか。なんだかこっちは久々にイタリア人と話せるのと、自分がイタリア語を話すさまを会場のほかの日本人に見せ付けられるのとで妙に上機嫌。いま書いてて思ったけれど、人間小さいよな、私。イタリア語できるといってもたいしたもんではないのにさ。旅行で困らない程度なのにさ。バカだよな…。兎に角私はイタリア人と喋ったことに気をよくして、そこの売り場からも1本買うことにしてしまった。味はさして好みじゃなかったのに。勢いづいた私はこのまま他にもイタリア人を探して無料でイタリア語会話を楽しんでやれと、なかばギラギラした目でイタリア人と思しき人物を探し始めていた。よし、次はあの金髪のおねえさんだ!とさりげなさを装っ近づくといきなり日本語で「アカとシロどっちですか〜」といわれた。拍子抜けしたこちらはどもりがちにじゃあアカで、なんて言って普通に試飲させてもらってしまった。いかんいかん、そんなつもりじゃないのだ。日本語お上手ですね、などといってさりげなくそっち方面に話を持って行き、名札を見ると「ヴィクトリア」。よし、行って見よう、イタリアの方ですか?と聞いてみたらルーマニア人であった。紛らわしいことこの上ない。しかしよく考えるとヴィクトリアはイタリア人の名ではなかった。ヴィットーリアだ。私が完全に間違っている。というか既に正常な判断が下せないほどに酔っ払っていた。このあとふらふらしながらジェラート入りカンノーロ(イマイチ…)を食らい、プロシュットクルードの試食をし、バルサミコとオリーブオイルを試して終わった。もう酔いでなにしてんだかもよく分からない。去年はこんなじゃなかったのになぁ。会場にいた塩田ノアを捕まえて付いて回るほどの成果をあげたのに。完敗である。