断髪

久々に髪を切ってきた。わきに流すだけだった髪を切って、前髪を作ったのだ。若返り作戦である。しかし若返りどころか幼稚になったといわれてしまった。幼稚なのは外見だけでなく人間性もである。ところで私は髪を切っている間の美容師との会話が苦手である。もともと人見知りするし、私が面白いと思うものを世の中の多くの人が面白いとは思わないことを知っているから、面白さの基準を世の中の平均値とおぼしきあたりまで摺り寄せるのが面倒くさい。要するに当たり障りのない会話が苦手なのだ。それでも若い頃は結構努力したものだが、最近ではすっかりずうずうしくなってしまった。美容師さんが髪をどの程度まで伸ばすのか私に問うので、もともと髪伸ばしのゴール地点を設定していなかった私は正直に「飽きるまで」と答えたらドン引きされた。更に「煩わしくなったら切る」というともう彼は「…へぇ」としか答えられなかったようだ。