神保町にてきっかり4000円

結婚手帖

古本まつりである。神保町を愛好し始めてもうすぐ10年になろうとしているが、実は今回が初体験。面白かった〜!こんなに面白いとは思わなかった。お祭り騒ぎでワゴンセールなんだけど本に群がる人々の姿が幾分鬼気迫っていて面白い。こんなに本に対して執念むき出しにした人を、しかも群れで目撃する機会などそうそうないであろう。実態を知らなかった私は当初友人を誘って行こうと思っていたのだが、誘わなくて正解。連れがいたら身動き取れないし。古本と何の関連があるのか分からないが街角でバグパイプ吹いてるおじさんがいたり、異世界感が強い。群がる人々の背でワゴンの中にどんな本があるかすぐには分からないのだが、人を掻き分けてワゴンに近づいたら本ではなくお焼きが売られていた。このお焼きのワゴンの扱いが完全に本のワゴンと同等なのを見ても頭がクラクラする。お焼きと本の自然な同居。
古本まつりなんだから古本ばかりが売られていると思ったら大間違い。新古本が大バーゲンだ。出版社がそれぞれワゴンを出していてそれぞれ半分以下。筑摩書房だとか岩波書店だとかの大手だけでなくゆまに書房のワゴンなどもあった(しかし人食いバラは見かけなかった)。興奮しながらワゴンを漁っていたらポテトもちなる食品のワゴンに出くわした。昼食をとっていなかったことと餅類の腹持ちのよさ、3個で百円という価格を鑑みてこれを食すことに決定。最終日のしかも3時をまわっていたので3個といわず4個セットにして売り切ってしまおうという胎らしく、予定よりも一つ多く餅が盛られた。しかも私の次の人で販売終了。その次の方はご愁傷様である。予期せぬ勝利に気分の良くなった私は携帯カメラで意味無く餅の記念撮影などをしてしまい、気づくと他の人々はとっくに食べ終わってその場を立ち去っている。本に囲まれながら餅を食ってるのは私のみで、給食の時間に完食できずに居残らされた小学生の気分を味わった。
そしてまたしてもチェコガイドである。先日は最新版の地球の歩き方を\850円で購入(id:luce:20041014#p1)したが、今回はロンリープラネットだ。これは定価販売だと3500円くらいしてしまうのだが2000円で購入。新古本なので古本ではない。チェコ2連勝だ。この他の特筆すべき買い物といったら何といっても「結婚手帖」だろう。一体誰を対象にした雑誌なのか見当も付かない。昭和38年のこの雑誌は「明るく 楽しい 夫婦生活のコンサルタント」なのだそうだ。頁を開くと「映画にみる夫婦の愛情表現−外国人の場合は自然だが、日本人がそうするとナゼ不自然に見えるのか?−」などと題して映画のキスシーン写真を集めていたり、その隣の頁には唐突に「新春ポータブル・プレイ手帖」とあり、福笑いが載っていた。福笑いはおたふくなどではなくとうちゃんである。顔のパーツは兎も角「ホッペタにつけるキスマーク」パーツなどもある。他には夫婦の性生活、夫婦のケース研究などがある。このケースがまた強烈だ。「夫は2号に入り浸り、よろめき寸前の迷う妻」とか。昔の雑誌の方が過激に感ずるのは私だけであろうか。
こんな感じで楽しくお買い物が出来てとても充実した一日であったのだが、また新たに自身の特徴を見出した。私、古本の買い方がシロウト!「結婚手帖」以外は全部新古本だ。新刊本を安く買えたのは僥倖であるが、他の店で買える本ばっかり買っても意味無いだろう。ここでしか買えない本を買うべきだったのだ。その事実に気づかず私は悪徳商法にはまった消費者のごとくあれも安いこれも安いと買い捲り。これだから貯金ができないのだ。今まで何も考えずに神保町が好きだなどとのたまっていた自分が恥ずかしい。この街の真価を今日初めて知った気がする。