地獄のワイン

仕事帰りにサワークリームが切れているのを思い出してスーパーに立ち寄った。たまたまワイン売り場を通りかかっために思わず、表現力表現力などと言いながらさして美味しくもなさそうなワインをついでに購入してしまった。
これが実に不味かった。未だかつてない不味さだ。明らかに美味しくないであろう食品をつい出来心で購入し、食べたことを後悔する事はままあるが、今回ばかりは生きてることを後悔した。良くないワインのいやらしい部分を凝縮したような、不幸の味がした。こんなものを飲んで表現力が豊かになるとは到底思えない。寧ろ貧しくなるだろう、心が。人の世の暗部を無理やり見せ付けられたような味であった。これがトラウマになってワイン飲めなくなっちゃったらどうしてくれようか。今でもあの不幸の余韻が残っている。