ロボット(R.U.R)

カレル・チャペック著 \560 岩波文庫 ISBN:4003277422
初めてこの人の本を読んだ。今までは名前のみ知っていたに過ぎず、しかもこの名を聞いても「吉祥寺の紅茶屋」くらいのイメージしかなかった。この紅茶屋がまた可愛らしいお店で、そのせいで根拠もなくチャペックといえば女の子受けする可愛らしいものという認識で、つまり私の読むもんじゃないと断定していたために全然興味を持っていなかった。
すみません、私が間違っていました。
戯曲であるこの作品に対する感想は「すごく良かった」の一言に尽きる。何がどのように良かったか言語化することは今の時点では私にとって望ましくない。このまま余韻に浸っていたいのだ。一面的な見方ではなく多角的に見たい作品だ。恐らく繰り返し読むことでまた受ける印象が変わっていくことだろう。読み手側に自由度が大きく、そのために単純に感想が述べられないのだ。だから「良かった」としか言いようがない。
「ロボット」という語を創ったのがこのチャペックである*1ということは以前から知っていたけれど、まさかこんな深みのある作品だとは思わなかった。時機を見て再読したいと思う。読む価値大いにあり。
登場するロボットの名に「マリウス」「スラ」とあったのだが、勿論これらはあのマリウスとスッラである。ほんの6時間だけだけどラテン語やっててよかったなぁ。

*1:正確に言うとカレルではなく兄のヨゼフが創ったのだが。