シマウマ嫌い

学生時代事あるごとにシマウマの気持ち悪さ、その存在の禍々しさについて力説していたのを思い出した。ウマのくせにシマがあって気持ち悪い、しかしもしも競馬に出てたら私はソヤツの馬券を買うであろう、など。そんなある日、大学に登校したら研究室の私の机の上に、目が痛いほどの青い空とあの白黒模様とのコントラストが強烈なシマウマのポストカードが一枚置かれていた。私のシマウマ嫌いを知っている先輩の仕打ちであった。
私に悲鳴を上げさせるためにわざわざこんなものを買ったのか…。
私をからかうのに150円も投資する価値があったのかは不明であるが、その先輩にはよくからかわれたものだ。ある時などは「上半身は普通のウマで下半身だけシマウマの動物がいる」などと言ってきて、私はそんな気持ちの悪い動物がこの世に存在するなどという事は自然が許さないだろうし私も許さないと宣言したのだが、先輩は絶対にいると言い張り、なんなら100万円賭けても良いとまで言うのだ。そして勿論その賭けには私が負けた。到底100万円など払えるわけがないのでせめて単位をリラにしてくれと頼んだが聞き入れてもらえず、結局彼女が望むときにはいつでも肩もみをするということで決着がついた。
他にはその先輩が「ソーダ味」と書かれた飴の袋を持っていたのを目にした私が、ソーダアジという名の鯵がいたらイヤですね、と戯れに言っただけなのに、そんな事も知らないの?当然でしょ?という表情で「いるよ」と言われたこともあった。そのときも何がしかを賭けたのだが結局どうなったかはもう覚えていない。毎日がこんな調子で進む私の院生時代であった。いつも同世代の男子には恐れられ、中学時代には友達にすら名前に「さん」付けで呼ばれていた私であったが、ところ変われば途端にからかわれキャラになってしまうのだ。人の世とは面白いね。
ちなみにシマウマは本当はウマではなくキリンの仲間だそうです。つまり私があの奴原を嫌う根拠はないということ。