プネウマ?

nmasakiさんに誘われてBibliotheca Hermeticaの年末ミーティングに行ってきた。錬金術には10代の頃澁澤さんを通して知って憧れた事もあり、このサイトを初めて知った時には大変興奮したものだが、とはいえこちらはど素人である。ゆえにこのサイトのメーリングリストに興味を覚えたりもしたが当然参加などできるわけがない、と自分の立場をわきまえていた。その私がここのミーティングに参加する日が来るとは夢にも思わなかった。フィチーノを知ったのもこのサイトのお蔭だし、だからイタリアで購入してきたフィチーノの著作が読みこなせなくて挫折感を味わったのもこのサイトのお蔭である。いろいろと感慨深い。
今回参加するに当たって私は、私のような人間は場違いなのではないかと大変に危惧していたのだが、nmasakiさんが大丈夫だというのでその言葉を鵜呑みにして参加した。しかしだ。会場に入ってみると皆、顔見知りっぽい。やっぱ私場違いじゃん。きっと皆さん、私の存在を認識しつつ気づかないフリをし、内心「誰だ?コイツ」と思っているに違いない。私の体からにじみ出る素人臭さからそのうち「お引取りください」って言われたり、会の最中に「何か質問ありますか?」とか当てられちゃったらどうしよう、などなど妄想しすぎ。しかし居心地悪く、もうこの時ほど「石ころ帽子」*1を欲した事はない。この会場に存在していないことにしたい、しかしそれは不可能だ、じゃ私が他の人間全部存在しないことにすればよいのか。そうして意味もなく、周囲を視界に入れないため、手持ち無沙汰を解消するためにモールスキンノートを開いてどうでも良いことを書き綴ったりしたのであった。普通にしてれば良かったのに、なんであんなに必死だったんだろう、あのときの私は。やっぱり自意識過剰だ。
会が始まってみると、やはり難解であった。というか知識なさすぎ。プネウマ?あ〜知ってる知ってる、単語だけな。そんなレベルである。ガレノス?あ〜、医者でしょ?大昔の。その程度。どっちも多分ハーヴェイの「動物の心臓ならびに血液の運動に関する解剖学的研究」をちらっと読んだときに知ったのだろう。違うかも知らんけど。
それでもやはり参加をして良かったと思う。天文学占星術の話は面白かったし、ルドルフ二世の宮廷の話は現在チェコ語をやっている身としては大変に興味深い。良い経験になりました。nmasakiさん、ありがとうございます。

*1:ドラえもん」に出てきたアイテムの一つ。存在が消えるわけではないがこれをかぶれば石ころ並に自己の存在を意に介されないのである。