その存在の禍々しさ

このクソ寒い中、仕事してきた。家庭教師先の猫は大変な巨漢で、腹部の張り出たピーク部分がハゲている。なぜそのような事態になったかというと、そこが出っ張りすぎて歩くたびに床に擦れてハゲちゃったのだ。その姿は実に生々しくまるでタヌキのキンタマのようである(見たことないけど)。
そんな話はどうでも良いのである。問題は私の部屋だ。帰宅すると自室の中央に見たこともない物体が落ちていたのである。明らかに人間の作ったものではない。手の大きな人の握りこぶし1個分くらい。大体そのものの正体に関しては見当がついているのだが、あまりにもその存在が禍々しいので口に出すのは勿論、言葉にして頭の中で認識することすら憚られる。なので写真をアップしようと思ったのだが、その写真を私が見たくないし、だから私の意識の中でだけこの物体の存在を全否定し、そこに何も落ちていないフリをしようとしかけたのだが、そうもいかないのである。なぜかって、私はこの部屋で毎晩寝ているのだ。私の意識の中でソレが存在していないことになったとしても現実的には存在しているわけで、そんな状態で落ち着いて寝ていられるわけがなかろう。私が前後不覚になっている間にこの物体がどうにかなってしまうおそれがあるのだ。
処理したいのだが自分の手を煩わせたくない、そう思った私は撤去のための要員(=母)を呼びつけた。おかあさ〜ん、おかあさ〜ん、なんかヘンなのが落ちてる〜、来てぇ〜。やってきた母に向けてその許されざる物体を指差すと「それがどうしたの?」と。母が言うにはもう2週間くらい前からその物体は私の部屋にあるという。そんな長きに渡って私はその存在を認識できずにいたのか!?俄かには信じがたく追求するとこう。私の部屋の窓の外に作りかけのハチの巣を発見した母はそれを撤去し、そのまま私の部屋のゴミ箱に捨てたというのだ。それが何らかの原因で今日、ゴミ箱から転げ落ちたのではないか、そう母は言うのだ。
このデリカシーのなさ!ハチの巣を普通の部屋のゴミ箱に捨てるなよ。気持ち悪いじゃないか。「もうハチ入ってないから大丈夫よ」ってそういう問題じゃないだろう。という事はつまり何だ?私はこの2週間、この禍々しい物体と同棲していたという事か?気持ち悪いなぁ。これ読んでる人全然ピンとこないでしょ?でもね、本当に気持ち悪いんですよ、ハチの巣って。作りが精密なので余計気持ちが悪い。この気持ち悪さを共有するためにも写真をアップせねばと思ったが、そこまでやっちゃうと数少ないこの日記の読者が確実に引くことは予想に難くないので差し控えた。本当に気持ち悪かったんです。あ〜あ。