夢のある部屋

澁澤龍彦著 \767 河出文庫 ISBN:4309407293
されこうべを入手せねばなるまい――。もう何年も前から私は自分の部屋を澁澤さんの書斎並にしようと努力してきたのだが、決定的に欠けているのがされこうべであろう。四谷シモンの人形は、…もう諦めました。貧乏人にはムリです。どうすればされこうべは手に入るのであろうか。情報を持っている方がいらしたら教えを乞いたいものである。
澁澤さんのエッセイを読むのは本当に久しぶりだが、これは読んでよかった。10代の頃はサドやら悪女やらそういったものに魅了されていたのだが、気がつくと私は澁澤さんの描く世界よりも澁澤さん自身に魅了されていたのだ。しかし、貞操帯をつけないかと唆されたとしてもそれは受け入れられるか自信がない。そういえばカルティエのラブリングって貞操帯がモチーフだったなぁ。絶対嵌めたくない指輪だよ。トリニティは好きだけど。ジャン・コクトー
印象に残ったのは「愛」という言葉に含まれる意味合いが、中国のそれと西洋のそれとでどのように異なるか、というお話と、あとは「仕事」と「遊び」、「ユートピア」だ。「仕事」よりも「遊び」の方がより純粋であるかのように書かれており、それについては私も同感。生きていくための手段としての「仕事」は、作業の目的がその仕事そのものにあるとは言えないだろう。この点に関してはいろいろと思うところがあり、長くなる上に発散することは必定なので今日のところはこの辺でやめておく。