ノルシュテインに克つ

前回ノルシュテインレイトショーには睡眠時間30分ということもあり惨敗を喫した私である。締め切り当日に行くというのが問題なのであろう。前回の戦略ミスから学んだ私は、締め切りである木曜日ではなく翌日の金曜日に再びノルシュテインに挑むことにした。しかも今回は締め切り前日に奇跡的に徹夜を免れており睡眠十分、かというとそうでもなく、木曜の夜から実家に帰ってしまったために金曜の朝は6時前にたたき起こされる始末。6時半には実家を出て一旦自分の家に寄ったらまだ普段起きなくてはいけない時間の50分前であった。勿論そこで普段より早く出社して仕事、などするわけがなく寝ましたよ、も一度。当たり前でしょう。効率の良い労働に睡眠は必要不可欠なのである。実に大人な判断を的確に下せる自分に惚れ惚れする。うぬぼれが強すぎてそのうち水仙にでもなったりして。そうしたら面白い。
締め切りの翌日ということもあり、あまり早々とは退社しにくい(これもまた自意識の問題であるのだろうが)気配になることは想像に難くない。待ち合わせは入場開始のギリギリに設定し、同行者の善意であらかじめチケットを購入しておいてもらった。正直に告白して私は意識が甘かった。前回見に行ったときは20時過ぎにチケットを買いに行ったにもかかわらず整理番号は13番と余裕だったので、どうせ今回もおんなじダロと高をくくっていたのだ。しかしだね、51番。補助席番号である。前回とは全然状況が違ったのである。先日はまだ週初めの火曜日、しかも同じプログラムがしばらくは上映される。今回は週末の金曜日。そしてこのプログラムの上映はこの日が最後であった。考えなくても混むことが必定であるのに、そんな可能性がチラともアタマに浮かばなかった私は真性のアマチャンである。同行者の善意に感謝。彼がいなければ私はこのプログラムを観ること能わず、であっただろう。前回の整理番号が13と縁起悪い感じであったので、どうせだったら今回は666番だったら面白かったのにな。
入場整理が5番刻みというその小刻みさに驚きつつも入場を果たすと。補助席すら既に埋まっており、通常席がポツンポツンと空いているのみ。補助席でも同行者と一緒に座りたいという先人*1たちの想いのためであろう。点在する空席を呆けた目つきで眺めていたら「収容所群島」という言葉が脳裏をよぎった。ウソ。今書いてたら思い浮かんだだけ。一列目と三列目の一番端っこの席がそれぞれ空いていたのだが、私が最前列に向かうのに先んじてさりげなく三列目を譲ってくれた彼は、そのさりげなさ故に紳士だなぁと感じたよ。
観た内容については、書かない。かなり面白かった、とだけ記しておこう。ノルシュテイン以外の作品も上映されていて、それらもまた面白かった。DVDになっているのならそれらを購入することは私にとってやぶさかではないくらいだ。プレイヤー持ってないけど。これを読んで観たくなった人(いないだろうな…)、残念でした。昨日で上映終了です。今日からは別プログラムです。や〜いや〜い、羨ましいだろ〜。私はもう観ちゃったもんね〜。上映後は再び「夜の喫茶店」で談笑。お土産に面白い本を貸していただいた。バルカン半島について書かれた本なのだが、私のようなドシロウトでも読みやすそうな本である。ぱらぱらとめくっただけでそそられた。そういう本はどうやったら作れるんだろうね。私自身は割とめくったときの直感で本を買うことが多いのだが、自分が、ガイドブックとは言え本を作る側になったいま、そそられる本作りには如何様にすべきか非常に興味がある。ガイドブックの場合は写真やデザインも重要だろうが、やはり小見出しというのはどの本でもかなり重要なんじゃないかね。本文読む前に小見出しでやる気をそがれることも多かろう。小見出しマイスターになりたいなぁ。ドイツ語なんて全然できないくせになんとなくマイスター。恥ずかしいのでやっぱり訂正。小見出しエストロ。もっと恥ずかしい。とにかくこの日はノルシュテインを思う存分満喫できたので私の勝ちである。

*1:ちゃんと本来この語の持つ意味と違うセンスで使っていることを自覚しています。この語を間違って使うほどに私はバカではありません!