こんな夢を見た

信じていた人に裏切られ、もう生きていけない、誰も信じられない、などと絶望しつつ道を歩いていたら、とても美味しそうなめかぶをもったお兄さんがいた。めかぶを箸でなにやらどんぶりに移そうとしているらしい。どんぶりには鮮度の良さそうな近海ものの刺身が載せられていた。それどこで買ってきたんですか、美味しそうですね、私も食べたいんですけれど、と声をかけるとお兄さん、ちょっと照れたようなはにかんだ笑顔を浮かべながら家の中に入り(彼は自分の家の前にいたらしい)、母さんこの人がこれを食べたいといっているから分けてあげて、と言っていた。見知らぬ人の家なので私も遠慮がちに、おずおずと入っていくと人の良さそうなお母さんと彼の妹がいて何故か大歓迎された。
あらあらまあまあ、よくいらっしゃいました、などと言いながら私を迎え入れ、でも何故かお母さんも妹も興味津々と言った面持ちで私のことを見ている。どうやらこの家、漁師の家らしい。私は何故か、食べるのが大好きなんです、生きがいなんです、などと言っており、そしたら二人、ますます大喜び。あら、うちの息子と同じね、お兄ちゃんと相性いいんじゃない、だって。そういわれた私もまんざらではなかった。お兄さんの方は、迷惑だろ、やめろよ、などといっていたが私が、まあいいじゃないですか、と答えたためにとりあえずお試しに交際することになった。
漁師さんなら実直そうだし、浮気の心配もなさそう、漁師のかみさんも悪くないかもな、などと先走った考えをめぐらせていたら彼が私に小銭をよこしてきた。400円。けちだなぁ、無理かも、と思ったら彼自身も400円を握り締めていた。今日は一人400円の予算で遊ぶらしい。お互い遠慮がちであったので、えらくぎこちない手のつなぎ方をして道を歩いていたのだが、そこで何故か私が率先して、あっち行きましょう、と。連れて行った先は教会であったのだが、そこで何が行われているのか私自身検討もつかない。入ろうと言ったものの面白いことなどないかもしれない、呆れられて捨てられるかもしれない、しかし入らぬわけにも行かぬ、ええい、ままよ!と突入したら日本に住むドイツ人たちが自分たちの郷土料理を披露する会が催されていた。ラッキー、私ってばついてるじゃん、と調子付き、二人して見境なく提供されていた料理やらお菓子やらをほお張った。しかし私たちは招かれざる客、本当は入場資格もあるかどうかわからない。もぐりの客であることがばれたらどうなるのであろう。追い出されるのだろうか、食べたものを返せと追い詰められるのだろうか。と、近くにいたドイツ人女性が我々の存在を認めた途端にそのメガネを光らせて…、というところで目が覚めた。
こんな夢を見たのは現在日比谷で行われている、「日本におけるドイツ年」のイベントの一つである「オクトーバーフェスト」に行きたいと思っているからかもしれない。