中原淳一美術館

はっきりいって無目的の旅行である。宿をチェックアウトしたもののどこに行けばよいのかわからない。東西ドイツ統一直後の東ドイツ人の気分。おもむろにガイドブックを開いたものの、これが本当に使えない。地図にノンブルがのってない。ありえない。だから地図に載ってる美術館とかレストランとか、巻末のインデックスまでいかないとどのページに載ってるかわかんない。更には本文で紹介してる物件と非紹介の物件とで全く区別がない。断っておきますが、これは私が前いた会社で作ってたものじゃないよ。前の会社では河口湖のガイドは作っていなかったのだ。作ってたら今でもコネでタダで手に入ったけどさ。
そうやって文句たれつつスリリング・ドライブしつつ河口湖自然なんたら館で手作りジャム体験と手作りスコーン体験。先生にせかされるように、終われるようにして手作りしたのであっという間に完成。楽しむ間もなかった。作ったジャムを乗っけた焼きたてスコーンは美味しかったけどね。しかしこの体験で午前中つぶせると思ったのに思惑が外れた。全然時間かからないでやんの。仕方なく再びガイドブックを開くとダヤンの美術館にイチゴパフェが売り物のカフェがあるという。ダヤンに興味はないがイチゴパフェには興味津々である。ということで行ってみた。
そのカフェの名前、私のようなものが口に出すのは恥ずかしいくらいのメルヘンチックな名前なのだが、「オルソンさんのいちご」というのだ。ホラ、恥ずかしいでしょ?しかし驚いたことに中に入ると男だけ4人組の客がいたのであった。ふと妄想。「おい、つぎどこ行こうか?」「ダヤン好きなんだよ、オレ」「オレもオレも、ついでにオルソンさんのいちごに行ってパフェ食おうよ」「オルソンさんのいちごかぁ、ガイドブック見たときから目をつけてたんだよ、オレ」。そんなわきゃないわな。
パフェとはいっても9割がたアイスクリームである。すっかり体が冷え切って唇紫、体の震えが泊まらぬまま中原淳一美術館へ。思った以上に良かった。私好みの、おめめパッチリ、アイライングリグリの小顔の女の子のイラストが良かった。「それいゆ」も「ひまわり」もモダンだったなぁ。当時の雑誌って特集のタイトルにカタカナが殆どないの。「特集:幸せに生きる」「特集:男心」みたいな感じ。ちなみにこの美術館、中原淳一の遺族の意向で来月一杯で閉館しちゃいます。もったいないなぁ、いい美術館なのに。機会があればまた行きたいが、今回の河口湖行きは私にとって人生初の体験。つまり29年周期。次に行くのは29年後のことでしょう。わかんないけど。