ろうそくの燃えカスに泪す

毎年私の実家では23日にクリスマスケーキを食べることになっており、父親などは「我が家のクリスマスは23日!」と断言までしている。別にクリスマスがどうというより、単にケーキが食べたいだけなんだからそんな宣言は無用なのだと思うのだが、とにかくそういう事になっている。
ケーキを食べる前には暗黙の了解でクリスチャンごっこ。「きよしこの夜」を歌うことになっているのだが、毎年のことなのにうちの両親、途中で歌詞が分からなくなるのである。いい加減覚えたらどうだろう、と思わないでもないのだが、きっと彼らもケーキを目前にするまでは、そんな歌う習慣のことなど忘れきっているのだろう。という事で致し方ない、私が先んじて歌詞を教えつつ歌いきるのである。毎年。そして「アーメン」と言って十字を切るのだが、聊かふざけ過ぎではあるまいか。面白いけど。ちなみにこんなことを率先してやる私の父の血液型はB型で、欲されていない血液、B型などという話もあったが、父を見ているとふざけた人間の血液はあまり必要とされていないのかな、と漠然と感じたりもする。ついでに言うと私の血液型はA型なので、そこそこ必要とされているのではないでしょうかね。
ケーキ自体は大変美味しくいただけたのだが、ケーキにあわせて入れた珈琲がやや難であった。というのも、ほぼ飲み終えたときにカップの底を見たらケーキに立てたろうそくの芯の燃えカスが沈んでいたからだ。恐らく火を消した際に勢い余って私のカップまで飛んできたのであろう。あんまりじゃないか。灰なんだから浮きそうなものなのに。私が知らなかっただけで灰は水より比重が重いのか?そう私が嘆いていると父が「十分火が通っているから殺菌されているよ、大丈夫だよ」と。フォローになってません。というか火を吹き消したのはあなたではありませんでしたか?人の嘆きを鼻鳴らして笑ってる場合ではない。やはり「クリスマス」などという名目は不要なのではないかと思いつつも楽しくケーキを食べて終わった一日でした。