おかあさん

今週はBS2で成瀬巳喜男の映画を連日放送しているので観てみた。成瀬巳喜男だけでなく私は日本の映画に疎く、などと書くと外国のものに関してはそこそこ知ってるぞ、と暗にアピールしているようにも解釈できるので念のため言うが、外国のも然程詳しくないけどね。しかし外国映画に対する無知とは比べモンにならんくらいに邦画は観ていない。その証拠に成瀬巳喜男はこの「おかあさん」が初めて観た作品だ。
面白かったのは香川京子の妹役の少女が、長かった髪を叔母に切られて泣くシーン。「うぇ〜ん」と泣き出したその泣き方も、最近の子役はこんな泣き方しないなぁと面白い、というか興味深く、その後も「毛がなくなった〜」と続けて、つい心中「いや、あるだろ。坊主にされたわけじゃあるまいし」とつっこんでいたらちゃんとおかあさん(=田中絹代)に「ちゃんと毛あるでしょ?」と言われていた。表現しにくいんだけれど、そのやりとりが何とも微笑ましかったんだよ。最近の小学生は家で髪を切ってもらったりしないのかもしれないけれど、そのやりとりから感じられる日常性というのは普遍的なもので、普通の家庭でよくありそうな雰囲気が好ましく感じられた、とでも言おうか。日本の昔の映画がこんなに面白いとは思わなんだ。今日は「驟雨」が放送されるのでこちらも観てみようと思う。