着物で過ごす休日

今日の日記のタイトルを決めたところで、おいおい、休日って言ったって毎日が言わば「オフの日」だろう、一体いつが「オンの日」なんだよ、と思ってしまったのだが、ここは一つカレンダーどおりという事で平にご容赦を。そして、オフだのオンだの言う表現は好んで使っているわけではないという事もご理解いただければ幸い。誰に対して弁解しているんだか分かんないけど。
要するに今日一日外出もしないのに家の中で着物で過ごしたって話なんですが、まずゴルフから返ってきた父親に一言「おぉ…」と絶句された。ウチに息子を預けて買い物に行っていた兄夫婦も戻るなり「どうしたの!?」と動転。私が着物着てたらそんなにおかしいですか?などと逆切れることもなく普通に「いやなに、ゴロ寝対策でね」と返答しました。本当はワタクシ、この無職期間中にやっておきたいことが多々あったのですが、連日ベッドに横たわる誘惑に抗うことが出来ず、無為に過ごしておったのですよ。帯締めて気合入れればダラダラ過ごすこともないかと思いましてね。
しかし気合入りすぎというか体の自由を奪われるというか、常に居ずまいを正した状態を強要されるために自由な思考をめぐらすことままならず。立ち居振る舞いだってぎこちないし、意識して体を動かさないといけないから考え事すらできない。注意が思考に対して喚起されるのではなく、自身の振る舞いにのみ注がれるのでね。元々思想が極端なきらいはあったが、ここにもその性向が見て取れるよ。ダラダラ、ゴロ寝から常に背筋を伸ばした状態へと変化したのだからね。中庸であるためにはどうしたらよいのであろうか。それにしても着物で過ごすというのはなかなか気分がよいものでもあったので、しゃんとした姿勢でいることが体にとって楽な体勢になるべく、今後は少しずつ着物生活に慣らしていきたいと思う。
ところで今日は私、甥っ子と初対面であったのだけれど、非常に意外な事実が発覚した。私が赤ちゃんのときとそっくりだったのよ、甥っ子が。私の赤子時代の不細工っぷりは自他共に認めるところのものではあるけれど、それにそっくりだからといって甥っ子が可愛くないわけではなく、血がつながっているからか或いは相手が圧倒的な弱者、小さき者だからかは知れないが、やはり可愛いね。私の母などは赤ちゃん言葉で話しかけようとするも、そんな語を発するのは30年ぶりという事で、つい口にし慣れた「ニャ〜ン」という猫なで声を投げかけてしまっていた。赤ちゃん語は最早忘却の彼方らしい。あと呼び間違って甥っ子のことを「たびちゃん*1」とも呼んでいた。たびと呼びかけて途中で無理矢理方向転換し、結果「たびとし」と呼んだりもしていた。
今の姿がかつての私にそっくりだからといっても、これから先彼が私に益々似てくるというわけではなさそうで、何故なら私自身、生まれた直後と3歳児程度の頃を比較するととても同一人物とは思えぬ程の豹変振りで、これは何を言わんとしているかというと、上のほうで書いた「不細工」を暗に現状では否定しているという事なのだけれど、でも実際驚くほど顔が違うので、ウチの甥っ子もあと1〜2年先にはどんな顔をしているか想像も付かない。聞くところによると彼の血液型はB型だそうだが、これも1歳過ぎると変わることがあるらしいので生後間も無い赤ちゃんから読み取れることなどどれも信用してはいけないのだと思う。
それにしても赤ちゃんって可愛いなぁ。ずるいくらいだよ。こういうあどけない子どもを見ていると私も流石に自分が大人であることを自覚しないわけにはいかず、タバコが臭いからといって家出している場合ではない、と自らの行動を恥じたりもしたのだが、そういう自分を客観視するとやはりちょっと口の端に微笑を浮かべてしまうというか自嘲気味になっているともいえるのだけれど、ちょっと面白いと思う。しかし少なくとも子どもが見ている前では大人らしく振舞わねばとも思うのであった。

*1:ネコの名前