衝動的に過ごす一日

東京都現代美術館で開催中の「転換期の作法」という中欧現代アートを紹介する展示を見んと外出。方向が全然違うにも関わらず、そういや代官山にトライフル専門店が出来たんだった、中学高校と英国紅茶に凝った時代にはなんとか本物のトライフルが食べられないものかと願ったが叶えられずにいたなぁ、丁度いいから食べてみようか、などと思い、木場に向かうのに先立って代官山に。吉祥寺から井の頭線で渋谷に向かう道中、なんとなく左耳にもう一ヶ所、穴を穿ちたくなってしまい、よし、今年は30歳になるし記念に穴をあけようじゃないか、何が記念なのかよく分かんないけど、と渋谷の皮膚科へ。そういや丁度11年前に両耳に一つずつ穴をあけたなぁ、母親から大学生になるまでピアスは禁止と申し渡されており、高校3年の3月、大学の合格発表の掲示板に自身の名が掲載されているのを確かめてから、その足で池袋の皮膚科に赴き穴をあけたのであった、あの時は最初に左側をあけたらその凄まじい痛みに言葉を失い、右側は「もう結構です」と断ろうと思ったが言葉を出す間も与えられずにあけられてしまったが、今回はどうだろう、再びあのような激痛を味合わされるのであろうか、刺すような痛みというがこれは本当に刺しているのだものなドキドキ、などと思っている間に完了。殆ど痛くなかったのは老いて感覚が鈍くなったからであろうか。
そういや皮膚科の待合室で所在無く待たされている間に、女の子が3人ばかり連れ立ってやってきたのだが、穴あけ申込み用紙に生年月日を記入の際、彼女たちの一人がもう一人に向かって「まだ15歳なんだ〜」と言っていたのに驚愕。なんだよ、私の人生の半分しか生きてないのかよ、その幼さでは察するに初めてのピアスなので一人では不安ということで、女子がつるんで雪隠に行くかのごとく皮膚科にやってきたという事であろう、と勝手に判じておったのだが耳見たら各人既に3つくらいあいてんの。皮膚科のオネエサンにも「今日は〜、左にぃ〜、2つおねがいしま〜す」とか言って。子どもだと思って見くびってすみませんでした。
その後首尾よく代官山に赴き、トライフルを食すと最早この地に用はないと言わんばかりの勢いでさっさと渋谷に戻り、丁度昼時であったので、そうだ、昨年からの懸案事項であった「カフェanoでチェコ料理を食べたい」を実行しよう、と青山方面へ。グラーシュにクネドリーキをつけ、ピルスナー・ウルケル飲んだらすっかり上機嫌で顔なんか真っ赤っか。すみませんねぇ、酒飲むとすぐに顔に出るんですよ。なんだかもう、全てのことがどうでも良くなってしまってそのまま青山の街を彷徨ってしまった。ペンブティック書斎館で万年筆を見るだけ見、ホアキン・ベラオで居座って店頭に出してないリングを山ほど着けさせてもらうだけ身に着け、最後に表参道ヒルズに行ったらエライ混雑振りに厭世観すら覚えてウンザリして帰宅してしまった。よく考えると今日は本当は美術館に行くつもりで家を出たのに、気の向くままに行動していたら行くの忘れちゃったよ。ばかなんじゃないの。こんなに動き回って疲れ果てているのに本来の目的を全く達成していない。小動物並みのばかさ加減に唖然。しかし衝動的なのも楽しいものではあるな。