タマや

タマや (河出文庫)

タマや (河出文庫)

このリンクを入れるために「はまぞう」で「タマや」で検索したら、やたらと「たま出版」の出版物が出てくんの。「大和民族ユダヤ人だった」とか、「キリストは日本で死んでいる」とか。タイトルそのもので検索してるのに目指す物に辿り着くまで随分かかったぞ。そしてよりにもよってたま出版。「キリストは日本で死んでいる」は、やはり青森のキリストの墓のことかね?ゴルゴダの丘磔刑に処せられたのはキリストじゃなくてその弟の「イスキリ」で、本人は日本に逃げ延びて結婚して子どもをもうけた、とかそんな話だったよな。
え〜、久しぶりの金井美恵子である。相変わらず面白いねぇ。目白四部作は「小春日和」「タマや」「道化師の恋」「文章教室」の順で好きだ。この辺りの登場人物が再び出てくる新しい小説は、小説トリッパーで連載中だったはずだが、早く単行本にならないものだろうか。まとめて一気に読みたい。
ところでこの「タマや」の主人公の母親が、かつて主人公の父親と結婚する前に別の男と結婚し、子どもも産んでいたのにそのことをすっかり忘れきって産んだ子の名前も思い出せないというエピソードがあるのだが、ついうっかり「母親と言うのは子どもに対して無償の愛を与える」などと思い込みそうになるのを引き止めてくれる感じでよろしい。いや実際「母の無償の愛」というのはこの世に存在するのだろうけれど、全ての母親がそういう感情を我が子に覚えるという訳ではないだろう。そんなことはない、と言われてもしょうがない。だってこのエピソードは実話らしいんだもん。本当にこういう母親が「いた」と言われれば信じたくなくとも受け入れるしかないでしょう。対象がどんなものであれ、こうあるはず、などという思い込みは極力持たないようにしたいものだ。