未だに理解できない

学生時代のこと。私の通っていた大学のトイレにはよく貼り紙がしてあったのだけれど、いくつか印象深いものがあって今でも一言一句違わず覚えている。例えば、

窓を開けないで下さい。ハトが入ります

これを初めて見たのは入試のときであった、と一瞬懐かしい想いとともに遠い目をしかけてしまったが、実際のところ、このトイレはハトが出るというよりゴキブリが出た。特に人気が少なくなる午後7時以降はもうダメだ。確実に出る。事実この私も私の両足をゲートに見立てたんだかなんだか知らないが、足の間を通過された事がある。ああいう瞬間って声なんか出ないものね。悲鳴どころか失語症だよ。
かような災難から逃れるには遅い時間にトイレに行かなきゃいいわけだが、院生時代の私の帰宅時間は夜10時。トイレに行かないわけにもゆかぬ。ということで我が物理学科のある理学部一号館を離れて、当時まだ比較的に新しかった理学部三号館まで雪隠求めて遠征するわけだが、ここばかりは普段女子の連れションを小馬鹿にしている私も先輩達と連れだって出かけた。だって道中暗くて薄気味悪いんだもん。かくしてたどり着いた理学部三号館のトイレだが、ここにも貼り紙がしてあるんだわ。文面といえばこんな風。

トイレはあなたのパンです。

これが未だに理解できない。これをトイレに貼る事によって何を訴えたかったのであろうか。目的を察することすらできない。そもそもこれを書いた人は日本語に通暁しておるのであろうか。仮に日本語に不自由な外国人(場合によっては日本人という事もありうるかもしれない)が書いたとして、どうしてそのような人がこのトイレにかかる貼り紙をするという仕儀に立ち至ったのか。全然分からん。この文面に秘められた解釈の可能性に気付かれた方はどうか私に教えてください。よろしくお願いします。