スメるエリア

私が今働いている職場には、におうエリアがある。毎朝そこをどうしても通り抜けなくてはならない私は可能な限り息を止め、心中「スメってるスメってる」と言いつつそのまま通り抜けたい所だが、そこのエリアに席を持つ人々に朝の挨拶をしないわけにも行かぬので、そのエリアの空気を肺中に吸い込まぬように細心の注意を払って息を吐き出しつつ「おはようございます」と小声であいさつし、エリアを抜ける頃には息も絶え絶えである。
そのスメル的根源はというと、大体分かるでしょ?「男」の集団がそこに席を有しているのですよ、ちょっと想像力を働かせたら分かるじゃないですか。汗臭い、とかそういうある種フレッシュさのあるものではなく、なんか日を置いて熟成させた、こなれたにおいですよ。それを感知しないように気をつけつつ呪文のように心中「スメってるスメってる」といってしまうのは、学生時代の先輩の影響であろう。語源は言わずと知れたsmell。この語を発した本人は至って自然で、ヘンな言葉を造ってうけてやろうなどという邪心もなく、ナチュラルに使っていたものであった。面白い人って素敵だわ。この先輩はほかにも名言が多いのだけれど、物理のバックグラウンドがない人には解されないので、解されないことを承知でここに開陳し、そして「やっぱり理解されなかった」などという感想を持つことは私にとって大変寂しいことであるので自粛。日本中物理が必修になればいいのに。
ところでそのにおうエリアであるけれど、仕事中にその作業内容に没頭し、そこがかのエリアであることを失念したまま通過してしまってにおいを吸い込んでしまうという悲しいアクシデントがままある。つまりどんなときも油断は大敵ということですね!常に警戒心を緩めてはならぬのです。野生動物のように。ということでしばらくは野生の俊敏さを身に付けることを短期目標としたいと思います。