需要と供給が合わない

私の父は還暦を過ぎているにもかかわらず先月は半月近くアメリカ出張、そして今週末からは中国出張、来月は再びアメリカ出張だそうである。人事ながら大変だナァと思う。私が海外に出たがっている話を人にすると大概一度はどの相手も「海外で仕事探さないの?」と言ってくる。イタリアは失業率が高いからそう簡単には仕事なんか見つからないよ、と適当に答えてお茶を濁すのだけれど、本当の事を言うと海外に行ってまで働きたくない。私はただダラダラ毎日、誰にも行動を規制されることなく、心の赴くままに好き勝手に楽しく生きていたいだけなのだけれど、日本にいると色々しがらみがあってなかなかままならず、だから海外に行っている間だけはダラダラ過ごしたい。「外国人」でいられる間は誰からも「常識的である」ことを要求されないからね。楽なんだよ生きてるのが。
だから決して「海外で働きたい」などとは全く思わないのだけれど、たまたま仕事で海外に転勤になる、というのは割とイイと思う。どんな会社か勝手が分かっている状態で、かつそこそこその仕事を楽しんでいられる状態で住環境だけは海外、なんていうのはスバラシイ!と思わないでもない。しかし正社員になって働く気持ちが皆無なので全く持って不可能なので「海外転勤」などという夢は抱けないのだが、ここにきて意外な情報が。私の兄は私と兄弟ながら人間の種類が大分違い、趣味嗜好から生き様まで大分対極にいるのだけれど、それは海外に対する想いにおいても同様で、彼の場合はできるだけ海外には行きたくないらしい。勿論英語も大嫌いだしできないらしい*1。なのになんでか今年に入ってから会社の経費で英会話学校に通わされているのだそうだ。学費全額会社負担でだぞ。どうもあと2〜3年のうちに海外に転勤させられる気配が濃厚なのだそうだ。
わたしゃ人生って面白いナァと思いましたよ。極力海外に出たくない兄に海外転勤の機会が訪れそうで、こっちは永遠に自腹で海外。いいんだけれど、別に。自腹なら誰にも負うところなくのびのびとダラダラ過ごせるから。あんまり考えたことなかったけれど、行きたくもないのに海外に行かされている人というのは結構大勢いるんだろうね。そういう人は大変だね。好き好んで海外に行ったとしても時々無性に日本食が食べたくなって苦しくなったりするんだし。行きたくない人は尚更だろうね。しかしよく考えると兄が海外に行ってくれれば私はそこに居候して好き勝手気ままに暮らせる可能性が高く、私にとってこれ以上の話はないのではないかという事に気づき始めたので、兄にはイヤだろうが何だろうが無理にでも海外に行っていただきたいと思う。できれば秘境めいたところがいいね、あんまり行く機会ないから。秘境すぎても困るからブータン、ネパール、ミャンマー、或いはペルーなど南米、ヨーロッパならベラルーシバルト三国などいかがでしょうか。ベラルーシが秘境めいているかと言うと微妙なのだけれど、彼の地に対して殆ど知識がないと言う点である意味秘境と言えなくもないのではなかろうか。兎に角どこでもいいから兄にはさっさと海外に行っていただき、私はそこで半年くらいダラダラやりたいものである。

*1:私は英語はできないが嫌いではない