欲望に忠実に

ルネサンスの歴史 (下) 反宗教改革のイタリア (中公文庫)

ルネサンスの歴史 (下) 反宗教改革のイタリア (中公文庫)

数年ぶりに読み返しているモンタネッリ&ジェルヴァーゾ「ルネサンスの歴史」だが、やはり大変面白い。チェコに興味のある人なら必ず耳にしたことのあると思われるヤン・フスだが、私はいまいちこの人が何故こうも重く捉えられているのが分からなかった*1んだけど、これを読み返したらなんとなく分かった気がした。フスがチェコ人にとってどういう意味のある人物か分からないままフス派の本拠地であったターボルにまで行ったのだがね。最初にこれを読んだときはチェコに関心を持つ前だったので適当に読み流してしまったのだが、あの時もうちょっとまじめに読んでいたら、ターボルでカフェに入ったときに現地の人間に私が東洋人であるがゆえにドン引きされたことを面白がっているだけでなく、そして街が迷路のように入り組んでいるという事だけを楽しむだけでなく、もうちょっと違った楽しみ方ができたのかもしれない。別に能天気に旅行しているだけでも楽しいんだけどさ。
そして改めて尊敬というか感心というか見習いたいと思ったのはエラスムスだね。この人、本や女のためならいくらでも適当な嘘をついて*2パトロンに金を無心したらしい。すごいよ。私も金の無心を堂々とできるようになりたい。ちっぽけな見栄やプライドのために目的を達成するための資金繰りができないなんて、所詮はその程度の目的であり情熱であるってことだよ。目的達成よりも体裁取り繕うほうが大事ってことだよ。誰にどう思われても構わないくらいの情熱を持ちたいものだ。金を無心したあとは卑屈にならないように気をつけないとね。卑屈になるのもまだ本物じゃない感じがする。目的、本物云々以前に卑しい人間にはなりたくないが。

*1:やったことに対して取り上げられ方が大きすぎる気がしていた。

*2:目が見えなくなったから治療費が欲しいと言って、金が手に入ると旧に目が治ったらしい。