ネコ部長

そこはかとなく体調不良。さすがに放っておけない状況なので近所の病院へ。私のほかの患者は殆どが老人で、しかもこの病院のシステムがよく分かっているらしく自分の受診する5分か10分前に来院。私が病院に着いた時には他に2人しか待っていなかったので、予定の順番よりも早く私の番が回ってくるかと思ったら全然、狙いすましたように続々と老人たちがやってくる。おかげで読書が捗ること。病院に行く際には待たされることは必定なので本は財布と保険証の次に必携だと思っていたけど皆さんとてもよいタイミングでやってくるので誰一人として本なんか読んじゃいなかった。
1時間ほど待って漸く私の番になり、現在の状況と先週から現在までの経過を話すと先生が私の腹具合を見るのでベッドに横になるようにと指示。言葉どおりに横たわった瞬間に集中力が途切れたと言うか魔がさしたと言うか、触診されている間にくすぐったくなっちゃったらどうしよう、などと思ってしまったためにもう、くすぐったさの可能性を感じたがゆえのくすぐったさ、吹き出しはしなかったが顔がニヤけてしまい、医師に腹を触られながらニヤついているようではどう考えても変態にしか見えないのでワザとらしく咳をして誤魔化した。誤魔化しきれたかどうかは不明だが。
先生の見立てでは胃か十二指腸がどうかしているという事で、冷たいもの、脂っこいもの、辛い(香辛料のきつい)もの、アルコールを禁じられてしまった。「今まで週に3回くらいはカレー食べてたんですけれど…」と言い切らないうちに「止めて下さい」と一刀両断。カレーもビールも禁じられて、それじゃあ私は一体何を食べて生きて行けばよいの!?ていうかカレー部引退?部長なのに?うちのカレー部マネージャは健康診断でコレステロールが高いという結果が出て、食事制限ゆえに自由にカレーを選べないという事でマネージャに降格したわけだけれど、私の場合「選べない」どころの話じゃなくてカレーは全部食べちゃいけないらしい。部員に対して事実を隠蔽することもできるのだけれど「漢」らしくマネージャに電話してありのままを伝えた。そうしたら「せいぜいマネージャ業務でも頑張ってよ」みたいな事を言われて、ひょっとしたらこの人いままでの私の仕打ちを恨んでいたりするのだろうか。ちがうもん、引退じゃないもん、「怪我」で故障中なだけだもん、マネージャはあんたでしょ、私の目の黒いうちはあんたを部長の座には就かせないわよ、と一気に言い切り部長代行にはたびちゃん(ネコ)が就任する事に。ネコ部長に対して異論反論もおこったが独裁的権力をふるって我が意をごり押し。ええもう、エゴイストですから私は。勝手にさせてもらいます。ちなみにネコ部長はキャットフードしか食べられず、しかもモンプチの高いやつしか食べないという中途半端エセグルメ。なんだオマエは、機内食を旨いとか不味いとか言ってる手合いと同じくらいの程度の低さだな、ってなもんで。部長としての責務を負えるかどうか気が気ではありません。