「テレヴィ」のその中途半端さが

テレヴィ」がイヤな理由を考えてみた。最初にすぐ、実際には「テレビ」と発音しているのに「ヴィ」とか言っちゃってるのがイヤなのかと思ったのだが、これはすぐに却下。ヴァイオリンだって普段は「バイオリン」と発声してるけれど別にヴァイオリンと書かれてもそんなに嫌な感じはしないからな。
それで次に思い当たったのは、言葉の区切っている位置に問題があるのではないか、ということ。つまり、televisionとはそもそもteleとvisionなわけで、それをteleviの位置で区切っている感覚が実に非英語圏的であるにもかかわらず、な〜んかviの発音だけ意識しちゃって「ヴィ」などと表記するのはどうなのか、ということである。元の発音にこだわるなら「テレヴィジョン」とか「ティーヴィー」とか書けばよいのではないか。なのに「テレヴィ」としちゃってる、その中途半端さがどうもねぇ。「テレビ」を「テレヴィ」と発音したところで、まだまだ全然英語的じゃないじゃん。発音に対するこだわり方が中途半端じゃん。
ところで、昔イタリア人のメル友がいたのだが、彼が「日本語ではTV(イタリア語ではティヴーと発音)をなんと言うのか?」と聞いてきたことがあり、「テレビ(terebi)だよ」とレスをしたら大分可笑しがられたことがある。曰く「rもbも音として可笑しいし、なによりbiで区切ってるのがナンセンス。しかし面白いので今後使ってみよう、terebi、terebiね、わっはっは」そんな感じ。本当の事言うと彼はterebiを面白がる前に「なんでそんな発音なの?」と聞いてきたので、「日本人はlとr、vとbの発音の区別が苦手である」と説明したところ、ようやくterebiがtelevisionを略したteleviに相当することが分かってもらえたのだ。流石に私はlとr、vとbを聞き分けることくらいできるけれど、それぞれを混同しやすいことも勿論分かっており、しかしイタリア人にはその混同を理解できなかったので、あぁ、本当に彼らにとってはlとr、vとbはまったく違う音なのだな、と実感したものであった。
そういや昔「エルブス」とかいうハーブティーが販売されていたが、あれのスペルはherbesで、フランス語として発音するならばエルブが正しいのに何故かsの発音まで付けて「エルブス」などとしてしまっており、そんなことするくらいなら中途半端にフランス語のフリしてhを発音しないなどという恥ずかしいことはしなきゃいいのに、と思ったことがあるのを思い出した。そしてその話を知人にしたら「いや、これはフランス語じゃなくて日本語だからいいんだよ、これで正しいんだよ」といわれて納得。そもそも外国語をカタカナ表記で正確にその発音を再現できるわけじゃないもんね。なので外国語をカタカナで書くときは各人好きなように書きゃいいんです。日本語なんだから、どうせ。で、テレヴィに関しては現時点では上に書いた中途半端さが気持ち悪いので私はテレビと書くことにするが、もし今後日本の世の中でテレビよりもテレヴィの方が一般化し、テレヴィに対して私自身も慣れてしまったら、そのときはそう書くかもしれません。でも今はまだいいや。まだ気持ち悪い。