さくらんぼの性は

さくらんぼの性は (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

mixiの白水社のコミュでわりと評判がよかったので読んでみた本。かなり良かった。いや、良かった、などと断言するのは本当は微妙なのだけれど。こういう本を今まで読んだことがなかったので、読後感はこれまで経験したことのないような漠としたものだったのだけれど、でも確実にまた読んでみたいと思ったのは確かで、だからきっと私はこれを「良い」と思ったと言えなくもないのだろう。余韻がなかなか消え去らず、読み終わったのは一昨日なのだけれど、今日まで折に触れてこの話の中の情景がふとした拍子に浮かんでくるのだ。
ストーリーが面白いとか登場人物が魅力的であった、などの理由でそのとき読んだ本が面白い本であったかどうか決まる場合も勿論あるのだけれど、そういうことに関わらず、その本の作者のほかの作品も読んでみたくなったり今読んだ本をもう一度読んでみたくなった場合には、私にとっては確実に面白い本であったと言えると思う。次も読んでみたいと思わせる作家とそうでない作家との違いって、何によって決まるんだろうね。