バリウム初体験

先月末からの懸案事項であった胃痛であるが、本日ようやく病院に行くことができた*1。病院が開く時間に合わせて行けばよかったのだけれど、やはり早起きできずに*2、到着したときには既に10時過ぎ。待合室のベンチはほぼ満席状態。きっと随分待たされることだろう、しかし致し方ない、と腹をくくって待つことに。こんなときに限ってなんで本を持ってくるのを忘れてしまったのだろう。待合室に置かれているのは「寄生獣」と、なにやら聞いたことのない漫画のみ。あんまり漫画を読む気にもなれず、仕方がないのでボーっとしていることにした。ボーっとしているときって、ひょっとして無心の境地に達しているのではないかね? だって何も考えてないし。無心の定義がよく分からんので違うかもしれないけど。
私が行ったこの病院は、年配の医師が一人で診察する小さな病院で、待合室には「インフルエンザの予防接種を受けましょう」などのポスターに紛れて何故か手術中写真が飾られていた。恐らくここの医師の若かりしころに執刀した手術の写真なのだろう。最初はカラーであっただろうその写真は経年変化してすっかりモノトーンに。しかし待合室に手術中写真をパネルにして飾ってるのは珍しい。そして医師が年配であることからも察することが可能なのだけれど、建物が割と古く壁が薄い。なので診察室の中の声がたまに聞こえてくるのだ。で、何も考えずボーっとしていると聞こえてきたのはこんな声。
「う゛ぼぉうっ、ごえっ、…うごぉっ」
…絶対胃カメラだ。間違いない。脳裏に甦る去年の悪夢*3。…もうじき私もあの目にあうのだ。胃カメラのつもりで昨夜9時以降は食事をしないでおいたので、覚悟の上とはいえ暗い気持ちになってしまった。2時間待って漸く私の番になり、現在の胃の状況を説明すると、予想に反して胃カメラではなくレントゲンで撮影することに。よかった、胃カメラの苦痛を免れることができた、と安心したのも束の間、看護士さんが粉末の入った容器と液体*4の入った容器を私に差し出して「この粉末を先に飲んでくださいね」と。勿論飲むのに使うのはバリウム。粉末は炭酸ガスを発生させるものらしく、バリウムを飲んでいくそばから胃の中がボコボコ言い始めるではないか。今までに経験したことのない気持ちの悪さ。その後、促されるままレントゲン台に乗っかり、縦にされたり横にされたりしながらレントゲン撮影。胃の撮影の場合はレントゲンって、あんなに動きのあるものだったのですね。
医師の見立てでは、そもそも私の胃は胃下垂で、特に動きが非常に悪いとのこと。なまけた人間性なのは知っていたけれど、胃まで働かなくなったか。ともあれ胃潰瘍などが原因の胃の痛みではなかったらしいので一安心。採血して本日の診察は終了。詳しい結果は来週出るとのこと。このあとに孤独死から逃れる会のメンバーと新宿でシュヴァンクマイエルの新作「ルナシー」を観たのだけれど、レントゲンが終わった時点で下剤を2錠飲まされていたので大変だった。何がどう大変だったかということは、どうか察してください。映画を見ている最中は大変な事態にはならなかったのがせめてもの救い。しかしバリウムを飲んだ後には、真っ白いアレが出ると聞いていたけれど、そんなに言うほど真っ白じゃないですね。尾篭な話で申しわけありませんが。

*1:先週は寝過ごしたので行けなかったし、無職のときは“いつでも行ける”という気の緩みから行動を起こせなかった。

*2:モーニングのためなら朝5時半起きも可能なのだが。

*3:去年も胃痛が酷かったときに病院で検査をしてもらい、そのときは胃カメラを飲んだ。あれは本当に苦しかった。

*4:無論バリウム