すごいドイツ人到来

大きすぎる

マルサシュロックという漁村にてマーケットが開かれるというので行ってみた。当たり前なんだけれど魚だらけなんだよ。もう、バス降りた途端に魚くさい。ヨーロッパの人間はめったにイカやタコを食べないというけれど、ものすごい量のイカタコが山積みになっていてびっくり。こういうのって、見てるのは楽しいんだけれど、買いたくなるようなものは皆無なんだよな。しかしせっかく漁村に来たのだから魚料理でも食べようと適当な店に入ると、よりにもよって店の名がCafe de Paris。…選んでる余裕なかったんです。いきなり暴風雨になっちゃったから。
注文するときに店のオヤジになにかお勧めはないかと聞いてみたらよりにもよって一番高いやつを進めてきやがった。断ろうかとおもったけれど、まああんまり贅沢してないし、ま、いっか、と安易な気持ちで注文。オヤジもこの魚は小さいからちょうどいいよ、と言っていたし。しかし実際にきた魚といったらえらい大きさでウンザリ。食べきれないじゃん、でも意地でも食べきるけど。そして味があんまりないので醤油がほしい。誰か醤油ください。
家に帰ってみると新らしく人が来ていて、彼女はドイツ人で1週間だけマルタで英語を勉強するという。もう10年も勉強していないから英語は苦手なの、という彼女だったがその言葉に偽りはなく、話しているときに何か辞書で調べているから何かと思ったら、彼女が分かんなかった単語はeverythingであった。出し抜けにHow old are you?と聞かれたのにも些か面食らい、しかし平然として「30歳」と答えると彼女の表情には微塵も驚いた気配がなく、そしてこちらが年齢を問うと「36歳」と。彼女自身がそこそこの年だったから私の年齢を言っても驚かなかったのか。
しかしよくよく話してみるとだいぶ様子がおかしく、いつドイツに帰るのかと聞いてみると「33日」と。どうもtwentyとthirtyを間違っていたようで。それをいうなら23日だよ、と訂正し、それ以降は間違うことはなかったのだけれど、再び何かの拍子に年齢の話になると、彼女の年は36歳などではなく26歳であったことが判明。そして「26歳」と言おうとして「twentysixteen」と言ったのであった。そして改めて私も自分の年齢を言うと5秒ほどフリーズし、それから私の目の前に指を3本出すので肯くと、瞠目して口をあんぐり開けて首を左右に振りはじめたのであった。そこまで驚かなくても…と思わないでもなかったのだが、ホストマザーまで調子に乗って「彼女はイタリアで若返りの秘術を受けたのよ。こんなに若く見えるなんておかしいわよ」などと言い始める始末。確かにこっちに来てから26歳の日本人に年下に見られたり、21歳の韓国人にほぼ同世代に思われたりしたけどさ。そこまで驚かなくたっていいじゃん。
しばらくそんな風にしてドイツ人の女の子とおしゃべりしていたのだけれど、こっちにきてから会話で優位に立てたのは初めてだよ。相手がネイティブだと多少焦って何かしゃべんないとと必死になるのだけど、彼女としゃべっているときだけは余裕で、時々相手の間違いを直してあげたりなんかして。しかし面白かったのはパリス・ヒルトンの話になったとき。彼女がなんでパリスの話なんかしたかったのかは忘れたが、それまで滅茶苦茶たどたどしいしゃべり方だったのに、非常にはっきりと、英語らしい発音で「bitch」、「bitch」と数回繰り返したのであった。あれ面白かったなぁ。またやってほしい。