生きクリブ

前にも日記にクリブのことを書いたことがあったが、今日はすごいのを見てきた。生きてる人間がクリブになってるの。これにはえらく感動しました。
ホストマザーによるとリーヤという街で見られるとのこと。ここで一つ問題が。リーヤがどこなんだか全然分からん。ホストマザーに確認したのだが「イムシーダでバスに乗ればいいのよ」と、イムシーダのバス停に心当たりはあったが確証はなく、かつ何番のバスに乗ればいいのか全然分かんない。バスルートマップを見たところリーヤと読めそうな街があり、Lijaと書いてあったがそれで本当にあってるんだか…。とりあえずLijaに行くなら40番のバスらしいのだが。
イムシーダのバス停らしきところで疑心暗鬼になりながらバスを待ち、15分ほどでバスがきたから一安心したものの、今度はどこで降りれば良いのかわかんない。外国のバス事情はイタリアとマルタしか知らないが、どちらも車内アナウンスというものは存在しないのだ。近くに座ってる乗客に「リーヤで生きクリブを見たいのだが、どこで降りれば良いのかわからない」と伝えてみたのだが、みんな頷くばかりで何も言ってくれないのである。ちゃんと伝わったのだろうかと大いに不安になったものの、降りるべきバス停の手前でちゃんと教えてくれて、かつ目的地までの道筋まで教えてくれたのであった。もっと人を信用せんといかんですね。
辿り着くまでに多少の困難を伴ったリーヤの生きクリブであるが、本当に行って良かった。昔の面影を残した細い路地を車両通行止めにして要所要所にクリブによく見られるパン屋だとか靴屋だとかのセットを拵え、街の人々は皆、クリブの人形と同じような扮装をしてそのシーンを演じてるのである。羊飼い役の人は、たった一匹だけどちゃんと本物の羊を連れて通りを歩き、

本物のロバや馬を連れた子供たちもいる。

感激、その一言に尽きる。リーヤという街はロンリープラネットにすら載っていない、全く外国からの観光客の来ない街で、そんな街で本物のクリスマスイベントを見られるなんて、私は30歳で独身で無職で孤独死から逃れる会の会長だけど、本当に幸せだと思いました。いろんなリスクを抱えた人生だけど、いい人生だなぁ。今まで生きてきて良かった。
通りの一番端にはハイライトとも言える馬小屋が。ここに本物のロバや馬と一緒にBaby Jesusの人形が飾られ、マリア役の女性と天使役の子どもがいたのだが、この二人、実は親子だったらしく、子どもがじっとしてなくて「クリスチャン!ちゃんとして」と叱ったり、私がカメラを向けると大きく写ろうとしてカメラの目の前に移動してきて「クリスチャン!そっちじゃないでしょ!ちゃんと持ち場に戻って!」などと怒られていたのがおかしみを誘った。

これは東方三賢人。

一人欠けてるのでどうしたのか尋ねたら「今日は風邪で病欠」だって。
実は帰路も割と大変で、40分以上待ってもバスが来ず、街の人に聞いて見たら「今日はもう来ないよ。あっちの方に行けばたぶん大きいバス停があるから、そっちに行ったら」と返ってきて、地図もなく明かりも乏しい夜道を彷徨ってバス停を探すはめになって些か焦ったのだが、なんとか帰宅できたので問題なしといえよう。イベントの日にも関わらずバスが来ないとはつまり、車で来る人しかいなかったということでやっぱり外国人は皆無だった訳である。ああいうところに行けて、本当に良かったな。観光地に行くより断然楽しいよ。日本にいる皆さんはどうぞ、羨ましがって下さい。私は大変幸せです。