最終日

便秘気味の人間が、水には十分注意しなさい、と言われた国でお通じが良くなると、不安になるもんですね。危機的状況ではありませんが、ややお通じが良すぎる気配があります。うがいをするにもミネラルウォーターを使っているのに何故。あぁ、私、あんまり自分の体がどのあたりにあるか把握できていないのです。だからしょっちゅう頭をぶつけたり体をぶつけたり。要するに不器用。缶ジュースを飲むときは傾けすぎてこぼすし、シャワーを顔から浴びるときは鼻から水が入ったり。昨日も鼻から水が入りました。口に入った場合は飲まなきゃいいわけですが、鼻からの場合は防ぎようがありませんね。しかし全然、下痢ということではなく、ただ非常に便通が快調なだけなので、やはりなれない国で神経使っているから腹具合に影響したのでは、と。
そんなこんなで最終日だというのに正午までホテルの部屋でだらだらと。あぁ、10年前にはまさか自分がこんな、チュニジアのホテルの部屋で一人、だらだら過ごすような人間になるとは思いもしなかった。私の未来は前途洋洋、などと思い違いを。現在二十歳そこそこの皆さん、年をとるのは一瞬です。気を緩めてるとあっというまに転落して私のように職業不定でホテルの部屋でだらだら過ごすような人間になってしまうのですよ。十分ご注意を。
あんまりほしいものは何も無いのだが土産物屋を物色。ここの国の人、ヘナで手を染めたりするのですがこれに興味があったので挑戦。店に入ってデザインを伝え、値段を聞くと10ディナールと。やだ、4ディナールしか払わない、と言ったらそれでOKだって。もっと値切れたかも。しかしこの店のお兄さん、手に模様を書いてもらってる間に話してみるととても感じがいい。どこに住んでるのか聞かれたので「日本人だけど今はマルタにいる」と言うとなにやらなぞの言葉を。今の何?と聞くとマルタ語だって。8ヶ国語喋れるんだってさ。そして「この作業が終わったら自分の名前を日本語で書いてくれる?」と。もちろん快く引き受けましたよ。そして非常にシンプルなデザインを頼んでいたのにも関わらず「君はフレンドリーで感じがいいからおまけしてあげるよ」と当初の予定の3倍くらい模様を描いてくれたのだ。土産物屋の連中、大抵顔をあわせると「ジャパン」とか「ニーハオ」とか「コンニチハ」とか「ナカタ」とか「ジャッキー・ション*1」などと声を掛けてきて、何か値段を聞いたりすると20倍くらいはふっかけてくる*2。それであんまりいい印象がなかったのだけれど*3この彼は良い人だったわ。というかきっと、他の人々もちゃんと会話してみると割りと人懐っこくて良い人なんでしょうね。
初日にメディナの中をオドオドしながら歩いていたときに道を教えてくれたおじさん*4と、今日再び同じあたりであったのだけれど「やあ、もうだいぶ慣れてきたみたいだね。ちゃんと歩けてるね」と言われた。きっとよほどビクビクしてたんでしょうね、私。さっきのお兄さんといいこのおじさんといい、結構いい人がいるじゃないか。自称ガイドに金をせびられたときはやや驚いたけど、最終日に良い人々に会えたので非常にうれしい。チュニジアの印象が良いまま終わりそう。3時に今日もモスク近くでコーランを聞き、そして時間をつぶしに現在ネット屋にいるというわけです。ホテルを出るのが7時だからあと2時間か。楽しかったな。次にくるとするならチュニスか。チュニジア、興味深い国です。

*1:ジャッキー・チェンの意味。フランス語読みか?

*2:ピアスの値段を聞いたら25ディナールと言われたので「じゃあいらない」と答えたら最終的に3ディナールまで下がった。さっきラクダのぬいぐるみの値段を聞いたらやはり25といわれ、もともといらなかったので「バイバイ」と立ち去ったら大きな声で1ディナールでいいから!と叫ばれた。

*3:自分でも意外だが「ジャッキー・ション」が一番イヤだった。ジャッキー・ションって言うな。

*4:書店でも経営してそうな雰囲気のおじさんだった。