記憶力が異常(らしい)

今週から新たに加わった生徒(日本人男性、推定40歳)が圧倒的に苦手なタイプであるということは既に述べたが、昨日こんなことがあった。相変わらず私は「話しかけないでくれ」オーラを発しているので接点は何もないのだけれど、その分彼が話しかける相手はもう一人の日本人生徒(うら若き女子)に集中。授業内容が理解できなかったらしく「ちょっときいてもいい?」「この"I can't stand"なんだけど、どういう意味?」「あぁ、そうなんだ。へぇ」「じゃあこれは?」。他人事にもかかわらずその話を横で聞きながら内心「君、口の利き方に気をつけたまえ」「辞書を引かんか、辞書を。単語の意味なんか他人に聞いてる場合じゃないぞ」「なんだこの気安さは。業界人っぽい軽っぽさを演出している風でいて*1実際は全然軽くなりきれていない。やる気ならもっと本気を示してほしい」と不快であったのだけれど、質問されている当人は非常に穏やかな性質で親切なので敬語で丁寧に教えてやっているのであった。そして家に帰ってから一人、陰気な性格なんでね、もし今度あんな口をきかれることがあったら「そういうしゃべり方しかできないなら、いっそのこと日本語はやめて英語で話しかけてもらえませんか?」そう言おう、きっとそう言おう、と固く決意したのだけれど、今朝顔を合わせたときに「おはようございます」と言ったら「グッド・モーニング」と返されたので滅茶苦茶驚いた。まさか私の決意が伝わっていたとか? そしてその後「あのさぁ、マルタから帰るときに空港でかかる税金のこと知ってる?4ポンドか10ポンドかかるらしいんだけど」「知りません」「そうなの?」「空港利用税が40ポンド近くかかることなら知っていますが」「利用税?40ポンド?そうなんだ。」。結局いつも通りじゃん。うぉ〜!悔しいぞ!相手のペースに乗せられてるではないか!いつかきっと毅然とした態度で応対してやるぞ。
ところで昨日、中華のランチボックスを食べてる際に、上記の彼から「へぇ、どこで買ったの?」とか軽口たたかれつつ「このビルの8階で買いました」と教科書の例文みたいなしゃべり方をしていたら中国人のバニラさん登場。味見をしてみるか、と尋ねて一口分けてやると「広東料理」と。すごい。さすが中国人。たった一口でどこの地域の料理か分かっちゃうんだね。そして「これはあんまりおいしくない。あなたが帰国する前に中華を作ってあげる」と。おぉ〜、本物の中華が食べられるぞ。しかしあんまり期待をしてはいけないのです。というのは、どうも私の記憶力は人並はずれているようなのです。私が彼女の「中華を作ってあげる」をしつこく覚え続けていても、当の本人はまったく覚えていないかもしれないからです。期待しても、そのとおりにならなかったら、悲しいだけ。ちょっとセンチメンタルなふりをしてみました。
記憶力といえばこの30年というもの、私は平均値以下の記憶力しか持ち合わせていないと思ってきて、それはなぜかというと人の顔が覚えられなかったり、学生のころだと暗記系の科目が非常に苦手だったからなのですが、どうやら「なんでこんなもの覚えなきゃいけないのよ、つまんないわね!」と思ったものに関しては脳が記憶することを拒むようで覚えられないのだけれど、それ以外の、誰かの何気ない一言とか、あんまり覚え続けられていても相手にとっては迷惑のようなことは、覚えようと思っていなくてもしつこく覚え続けることが可能なようなのです。昨日の晩も夕食の席で誰かが冗談で9歳児に「彼氏いるの?」と聞くと彼女のママが「いるわよね〜」と。そして「誰かは知らないのだけれど、毎週土曜日に通ってるスポーツジムで会う男の子たちのうちの一人が好きらしいのよ」と。ここで私、あることを思い出したのでした。そういや年末に彼女が自分のウェブサイトを作りたがってたときにyahoo!のIDを作って、そこで偽の名前で登録するように、と言ったら彼女は男の子の名前でそれを登録し「ボーイフレンドの名前なの。じゃなかった、彼は単に友達で、たまたま男の子だっただけ!」と言っていたなぁ、で「ひょっとして彼氏の名前はダレン?」と言ったら正解。事の経緯を話したらその場にいた人々に非常に驚かれたのでした。
自分ではこういった、些細なことをしつこく覚え続ける性質はごく当たり前のものであったので、あんなに驚かれて聊か心外ではあったのだけれど、思えば子供のころから友達とした約束をたいがい友達のほうだけが忘れていて悲しい思いをすることが多々あったなぁ。昔付き合っていた人からも(おぉ!?恋愛日記に突入か?)やたらと「記憶力がよい」と言われてなんのこっちゃ分からんかったのだけれど、今にして思えば恐らく何か揉め事が起きたときに「あの時あなたはこう言ってああ言って、だから私はこういう風に行動したのに、なんで今になってそんなことを言っているのか」と問い詰めて追い詰めて、しかし彼のほうは過去のことを覚えていないがゆえに整合の取れない行動をしたわけで、結局何も言い返せず降参するほかない、ということが多々あったから、ゆえに「記憶力がよい」と言われていたのでしょう。…たち悪いじゃん、私。でも覚えようと思って覚えてるんじゃなく、勝手に覚わってしまうのだから仕方がないでしょう。もうこの業を一生背負って生きてゆきますよ。嘘。本当は最近加齢によってだいぶ昔よりも物事を覚えにくくなってきているのです。なんでもすぐに忘れちゃうほうが、幸せなのかもしれないなぁ。
恋愛日記に突入するかと思いきや全然だったので人様の恋愛話を書きます。同じ学校の友人が年下の彼氏がおり、彼とはマルタで知り合ったので頻繁に会っているわけですけれど、最近太ってきたらしく(と言っても今の段階で平均値以下に痩せてる)年下彼氏にアゴの肉をつままれる、と言っていました。…全然ダメじゃん、こんな日記じゃ。読者獲得は無理じゃん。しかしそもそもなぜ読者を獲得したいのか、そのモチベーションがよくわかんない。じゃあ問題ないじゃんねぇ、今までどおりの日記で。

*1:言葉だけの問題でなく、そう感じるような口調だった。