ハイポジウムに行ってきました。

先史時代の遺跡が多々残るマルタ。中には今から7000年くらい前に作られたものもあるらしく、日本にいたときはだいぶ興味津々で見に行くのを楽しみにしていたのですが、実際に目の当たりにしてみると大きな石が転がってるばかりで予想していたよりは感動しないもので。「あ、そう」みたいな。ピラミッド(未見)とか万里の長城(これは見た)くらいに完成された姿を今に残していたら感慨深いに違いなかったんだろうな、と思っていたのですが、今日見てきたハイポジウムは凄かった。地下神殿なんすよ。
20世紀初頭に家を建てるために地面を掘り返したら出てきた神殿で、深さ約10メートル。現在ではその上にフツーの建物が建てられていて、その建物の中に入り階段を下りると神殿がある。本当に普通の街中のごくありふれた建物なんすよ、外見は。なのに中に入ると5000年前の地下神殿。凄い。感動。風雨にさらされてないからあんまり劣化していないし、何しろこの真っ暗闇が神秘的な雰囲気をかもし出しているのですよ。20代後半になってから様々な自己の性質に気づいてきた*1のだけれど、どうもワタクシ、地下遺跡やら洞窟やらが好きなようです。先月行ったカタコンベは他に客が殆どいなかったせいで恐ろしくてじっくり堪能することはできなかったのですけれど、できればぜひ、また行きたいと思っています。同伴者募集中。
あ〜、あんまりうまく表現できないなぁ。ハイポジウム、本当に一見に値しますよ。私に言わせればチェコのコストニツェ、骸骨教会よりは断然面白いっす。個人差はあるだろうけれど。ハイポジウムのためにまたマルタに来てもいいなぁ、と、それくらいに思うほどには面白かったです。写真を取り巻くっていろんな人に自慢をしたかったのだけれど、写真撮影厳禁で荷物も全部預けなければならなかったくらいなので隠し撮りも付加。なんだよケチ、と彼らが日本語をわからないのをいいことに呟いてみようかと思ったのですが、本日は珍しく同行者、それも日本人の、がいたので自制。ただ中に入ってみると写真撮影厳禁の理由は明確で、赤い石かなんかを砕いて塗料にしてそれで内壁に模様を描いてあったのだけれど、これが光に滅法弱くてこの 50年くらいでだいぶ色が薄まったんだとか。なんでもこれは血の色を表していて、血とはすなわち生命の象徴、との解説があったのだけれど、文字による記録が一切残ってないのにどうやってそれを判断したのか非常に不思議ではあった。
ハイポジウムのあとにはタルシーン神殿という、これは屋外の神殿なんだけれど、そちらにも行ってきたのだが、これは上にも書いたように「あ、そう」的神殿でありました。ハイポジウムの前に見てたらもうちょっと面白かったかも、と思わないでもなかったが、先月行ったほかの神殿と比較しても「あ、そう」の色合いが濃いので、こちらを先に見たとしてもあんまり変わらなかったかもしれません。もうちょっとこれらの神殿に対して知識があれば面白かったのかもしれないけれど、知識っていってもねぇ。資料が何も残ってないわけだからねぇ。そしてあれらを楽しむために時間とお金を割いて何らかのものを学習する気持ちは当面ないので、今後も「あ、そう」のままでいることでしょう。それでもハイポジウムは面白かったけどね。面白さのキーワードはやはり「地下」と「暗闇」か。自分の嗜好性の進む方向がよくわからない。この先私はいったいどういう人間になってしまうのでしょう。謎。

*1:にわとりのことが実は好きだと気づいたのが1年半位前で、カエルのことが好きだということに気づいたのは4年くらい前か。