イギリスだより
イギリスだより―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)
- 作者: カレルチャペック,Karel Capek,飯島周
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/01/01
- メディア: 文庫
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「イギリス人は古い木でできている」
本文にも魅力的に面白い箇所が多々あった。例えば、
この島は、美しくて貧しい。ここでの原初の小屋は、まったく歴史以前のように見え、まるで今は亡きピクト人たちが建てたかのようである。ピクト人たちのことは、よく知られているように、なにも知られていない。
訳もいい気がするね。他には、
かつらをかぶったイギリスの法律家を初めて見たとき(それはエディンバラでした)、わたしは、イギリスの伝統主義の秘密の一つを理解しました。つまり、ユーモアの感覚です。十八世紀のかつらをかぶるほうが、歴史的でない、ふつうのはげ頭をのっけているより、ずっとおもしろみがあります。多くの場合、古い伝統を保持する能力は、おもしろみを傷つけまいとする、あなたがたの善意から生ずるように思われます。
バーナード・ショーについてイラストつきで紹介し、
これはほとんど超自然的な人物、バーナード・ショー氏である。たえず動いてしゃべりまくっているものだから、これ以上よく描けなかった。おそろしく背が高く、細くてまっすぐで、半分神様のようで、半分は非常に意地悪な半獣神サテュロスのようだ。
このサテュロスは、何千年にもわたる昇華作用のおかげで、自然に近すぎるものをすべて失ってしまった。白い髪、白いひげ、非常に血色のよいばら色の肌、人間とは思われぬほど明るい眼、がっちりした好戦的な鼻を持ち、ドン・キホーテの騎士のようなところ、キリストの使徒的なところ、そして、この世の中のすべてを、自分自身までをからかって喜んでいるようなところがある。
こんなに普通でない生物は、見たことがなかった。ほんとうのことを言うと、怖かった。
私が旅行エッセイを読む場合、舞台となっている国に興味があるので情報収集のためであることが多いのだけれど、そういう目的じゃなく読んだ方が断然面白く読める気がする。カレル・チャペックいいなぁ。大好きだ。