ジャン・ポール・エヴァンの思い出

今でこそ誰もが知る超有名ショコラティエジャン・ポール・エヴァンであるが、私はエヴァンが新宿伊勢丹に出店する以前からの愛好者だ、っていうのはちょっとした自慢です。えへへ〜、みんなが知る前から私はエヴァンのこと好きだったもんね〜って。といっても最近はすっかり足が遠のいてるけど。エヴァンだけでなく所謂高級チョコレート店からは。さっきふと思い出したのだが、実は私はエヴァンの日本第一号店の一番最初の客である。エヴァンの開店当日って、確か平日だったと思うのだが、あれ、なんで私は平日なのに開店前から並ぶことができたんだ? …そのときも無職だったってことか。いや違う、教育産業に従事してたから昼間は常に時間が自由になってたんだ。一安心。とにかく開店前から、エヴァンに一番近い地下にある伊勢丹の入り口で待機し、開店と同時に入店。やはり私と目当てが同じものがおり、気がつくと足早に。入り口まであと僅かというところで見たところオタク気質のデブの男に追いつかれて競り合い、そして競り勝った。あのときは嬉しかったなぁ。店の人もおそらく我々の攻防を見ていたのだろう。私に向かって満面の笑みで恭しく「お客様が日本での一番最初のお客様です」と。
だからどうって話でもないのだけれど、どの分野でも確実にオタクって存在するよな、と思った次第。この後店内でチョコレートを物色していたら、假屋崎省吾風の男性が現れ、あれ、あの時ってエヴァン本人も来日してたんだっけ? 私の記憶ではこの男性がエヴァン本人に向かって「アナタ日本にお店出さないって言ってたじゃない! おかしいわよ! 裏切ったのね!? もう私はアナタのことなんて信用しませんからね!」とえらい剣幕で怒りはじめたのが面白かった。あの人はいったいどういう人だったのだろう。不思議だ。
若かりし頃と比べると最近はすっかり気力が減退し、食べ物に対する情熱も勢いがなくなった私だが、こう思い返すと所謂美食の世界にも面白そうなマニアは沢山いたような気がする。当時は私自身がマニアの世界に片足突っ込んでいたので客観視することができなかったけれど*1、気力が失せた今ならば昔は気づかなかった面白マニアの存在を認知することができるに違いない。また精力的に食べ物情報を収集してみようかな。

*1:だいたいデブの男と競り合うあたりが、我ながら軽く常軌を逸している気がする。