ソーシャル・アパートメント

数日前の昼のニュースでソーシャル・アパートメントのことを知り、これは面白い是非日記に書こう、と思いつつも加齢故に思ったことをやり遂げる前に記憶を失い書けずにいた。でもって今日はそのことを思い出せたので漸く書けるのである。ヨカッタ。
ソーシャル・アパートメントとは何かというとキッチン・バス共用のアパートのことで、しかしちゃんと若者に受けるように共有スペースにはビリヤード台が置かれたり薄型テレビが置かれたりしていて、個室は狭いのだがベッドと机と冷蔵庫は元々備わっているので身一つで引っ越して来れるというものである。しかも敷金礼金ゼロ。川崎だか横浜だかにある物件などは家賃が5万6千円程度とリーズナブルなのである。共有スペースでご飯を食べていると他の住人もその場にやってきたりして会話が生まれ寂しくない、というところが受けているらしい。この施設便利じゃん、安いし。孤独死から逃れる会のメンバー全員でその時が来たらここに引っ越せばいいじゃん、と思ったんだけれど、よく考えるといろいろヤダ。
まずキッチン・バスが共用なのが面倒くさい。掃除は住人じゃなくて管理会社がやってくれるらしいけどさ、にしても全ての住人が一斉にキッチンやら風呂やら使える訳ないのだからタイミングを見計らわなければならないのが面倒くさくてご飯を食べそびれ、最終的には栄養失調になってしまうかもしれない、というのは勿論本気ではないが、でも2回に1回くらいは食事を我慢しちゃいそう、私の性格だと。お風呂もな〜、なんだかな〜。風呂とキッチンは個室についていた方がいいよ。
次に、共有スペースで寛いでいるときに然程したしくない住人がやってきた場合、話したくもないのに世間話をするはめになりそうで面倒くさい。孤独死から逃れる会のメンバーだけしか住んでなければその辺りは楽だけれど、全然知らん人と喋る場合の「当たり障りのない会話」というのは私にとっては非常に苦手分野だ。当たり障りなく一生懸命喋っても相手を絶句させることはままあるからな。そんなことになったら自室に戻ったときにきっとベッドの上で体育座りをして「ドン引きされちゃった、クスン」と涙ぐむに違いない。
更に、管理会社が時々開催しているという新規入居者歓迎パーティが本当にヤダ。新しく入った人が共有スペースに出てきやすいように、との配慮で催されるらしいのだが、大勢でにぎやかにするのが苦手なんだもん、人見知りするから。
図らずもソーシャル・アパートメントの利点を全否定するはめになってしまった。これって恐らく社会性のある人には非常に楽しい住居だと思うのですよ、家賃安いし敷金礼金ないし、大学の寮などとは違って入居者に多少の年代の幅もあるだろうし異業種交流もできるだろうし。キッチンと風呂が全個室についている上で共有スペースがあるというのなら私にも住めそうなのだけれど、引きこもり気味というか、気づくと部屋で一人でじっとしていることの多い私にとって、雪隠行くにも風呂にも食事にも誰かしらと顔を合わせずには済ませられない状況というのは、結構しんどいなぁ。あれだな、高校なんかで行事をみんなで楽しくやれるタイプの人には向いてそう。私は、大体クラスの隅っこでじっと、ほとんど動かず本ばっか読んでいたクチなのでね。全然だめです。
あ、あともういっこ。杞憂と言っちゃ杞憂なのだけれど、あんまり女性慣れしていない男性がこういった住居に入居し、他の住人の中に気に入った女子を見つけてしまってストーカー気味になっちゃったりしたら、その女子は逃げ場がなくてつらいだろうな。昔、男子校出身者に聞いたのだけれど、男子校出身者の中にはたまに女の子と目が合って、かつ相手が微笑みかけたりすると、その相手が自分に気があると誤解するレベルの人がいるらしいのだ。また、私の学生時代の話だが、理系男子は女性に慣れていない人が多く、そんな男子のうちの一人が私の先輩のことを非常に気に入ってしまい、その行動は気に入るを通り越して最早執着のレベル。常に彼女の視界に入るように不自然な動きをしてきたり、毎日毎日気持ちの悪い内容のメール*1を送ってこられたりしていた。こういう感じの男性がソーシャル・アパートメントに入ってきちゃったりして、他の住人に執着し始め、執着の対象が共有スペースに出てくるのを執拗に待ち続けたりするようになったらと考えると恐ろしい。執着されてる側もそこに住んでいる限り、料理をするにしてもお茶を入れるにしても風呂・雪隠に行くにしても、いずれにしても自分の部屋を一度は出なければならないわけで、やだなぁ。あ、でも流石に男性の居住区域と女性の居住区域は分けられてたりするのかな、風呂・雪隠とかも。でもきっとキッチンは共有なんだろうな。
なんでこんなトラブルを想像してしまったかというと、やっぱりそういう問題を起こしそうな人を何人も過去に知ってるからなのだろう。で、恐らく大抵の男性で私が想像するほどに迷惑行為をやれる人というのはそういないのだろうから、やっぱり杞憂なのだろう。でもま、私はやはり知らない人同士で共同生活するより孤独死から逃れる会の人々のみに限定して生活する方がいいね。勿論キッチン・風呂・雪隠は各個室に備え付けで。既存の施設を利用せずに、ちゃんと「孤独死から逃れる会の家」を用意した方が良いのでしょう。

*1:勝手に過去を回想して「あのとき本当はあなたは僕に告白されたかったんですよね」とか書かれていた。