変な夢

実家の居間から庭に目をやるとそこにはセントバーナードの実際のサイズの2.5倍程の大きさの犬と、それからその犬と同サイズで、しかし体毛の色が茄子色(胴体から頭にかけて、深い黒から紫のグラデーションになっている)の犬の2頭がいて、芝生の上にきちんとお座りした状態で家の中を覗いている。実を言うと彼らは私のネコの信奉者で、私のネコに会うために巡礼の旅に出たのであった。私としては私のかわいいネコに対してこんなにも敬意を表してくれる犬たちの存在は好ましく、ネコに対する誇らしさもあって丁重に彼らをもてなすつもりで、庭から家に上がってもらったのであった。
で、じゃあ今たびちゃん呼んできますね、どうぞお寛ぎください、などと言って居間から出ようとしたのだが、彼らは膝を崩す事もなくやや緊張の面持ちで、しかしたびちゃんに会える喜びもその顔には滲み出たりしていて、そんな様を見た私は早くたびちゃんを連れてこなくては、と思い、居間から出ようとすると半開きになっていた部屋のドアの外から家政婦に扮した市原悦子のようにしてたびちゃんが居間の中を覗き込んでいた。
どうしたのよたびちゃん、入ってきなさいよ、皆さんあなたに会いにいらしたのよ、と声をかけたのだけれど、犬たちの異様なでかさにパニック状態になってしまった私のネコは、耳をピッと伏せてそのまま壁に対して垂直に走りさり、私が追いかけると益々気が動転したのか、犬たちのいる部屋に後ろ足で二足走行。走って突入してきた。ネコが二本足で走る姿の滑稽さよ。家人も私も全員苦笑と言うか失笑と言うか、たびちゃんに対してある種の憧れを抱いている犬の前で無様としか言いようのない姿をさらすたびちゃんに、やや残念さを覚えつつも「こういうところがたびちゃんらしさだよな」と思ったりしているうちに目が覚めた。
しかしあの茄子色の犬は印象深かった。毛の質感はモップ系。ダスキンモップを更に深い色にしたような感じであった。変な夢だなぁ。リアルたびちゃんに起こされて目が覚めたのだが、目覚めた瞬間はあの茄子犬をもっとじっくり観察したかった、と非常に残念だった。ああ、もう一度、あと一度でいいから、あのヒトに会いたい、なんてな。どういうキャラなんだか自分でもよく分からん。